このラボについて
シミュラボの多くのページは「入力→計算→結果」の計算機ですが、このラボの20本は時間とともに状態が変化していく“動くモデル”です。1体1体の住人・客・車・粒子・ニューロンが単純なルールで動き、その積み重ねとして、渋滞や分断や流行やパニックといった全体の現象が“勝手に”立ち上がります。これを創発と呼び、複雑系科学・計算社会科学・計算物理の中心的なテーマです。
各ページの本文では、使っているモデルの式や出典、現実世界でそのモデルがどう使われているかを解説しています。授業・記事・資料でご活用ください。
使っているモデル・アルゴリズム一覧
| シミュレーター | モデル | 出典・分野 |
|---|---|---|
| キツネとウサギ 増減シミュレーター | ロトカ・ヴォルテラ方程式(捕食者-被食者モデル) | Lotka (1925) / Volterra (1926)。数理生態学の基礎方程式 |
| 行列、1列並び vs レジ別 どっちが速い? | 待ち行列理論(M/M/c・フォーク型 vs 個別列) | Erlang (1909) に始まる待ち行列理論。銀行・空港・コールセンターの設計に使用 |
| エレベーター待ち時間シミュレーター | 離散事象シミュレーション(SCAN/最短距離/先着順の群管理) | ディスクスケジューリングと同型のアルゴリズム。実際の群管理制御の基礎 |
| 信頼の進化シミュレーター(囚人のジレンマ) | 反復囚人のジレンマ × レプリケーター動学(進化ゲーム理論) | Axelrod (1984)『つきあい方の科学』。協力の進化を説明する古典 |
| 噂が全員に届くまでシミュレーター | スモールワールド・ネットワーク(ワッツ=ストロガッツ)上の伝播 | Watts & Strogatz (1998, Nature)。六次の隔たりを説明したネットワーク科学の出発点 |
| エコーチェンバー 意見分極シミュレーター | 限定信頼モデル(ヘーゲルマン=クラウゼ/デフアン) | Hegselmann & Krause (2002)、Deffuant et al. (2000)。計算社会科学の意見動学 |
| 流行はなぜ急に終わる? 普及曲線シミュレーター | バス拡散モデル+飽き(離脱)項(SIRS型) | Bass (1969)。新製品の普及予測に50年以上使われる標準モデル |
| 多数決の罠 投票方式シミュレーター | 社会的選択理論(コンドルセ/ボルダ/決選投票/即時決選) | Condorcet (1785)、Arrow (1951)。同じ民意でも投票方式で勝者が変わることの証明 |
| 満員電車 混雑率シミュレーター | 粒子ベースの群衆密度モデル(1㎡あたりの人数と圧力) | 国交省の混雑率定義+群衆密度と圧力の関係(Fruin 1971、群衆事故研究) |
| 時差出勤の効果シミュレーター | 出勤時刻分布(ガウス混合)とピーク混雑率のモデル | 国交省「オフピーク通勤」の考え方。ピーク30分の集中度で混雑率が決まる |
| 部屋はなぜ勝手に散らかる? エントロピーシミュレーター | 統計力学(エントロピー=配置の場合の数) | ボルツマンの S = k log W。「片付いた状態」は場合の数が圧倒的に少ない |
| ニューラルネットが学ぶ瞬間 シミュレーター | 多層パーセプトロン(誤差逆伝播法・確率的勾配降下法) | Rumelhart, Hinton & Williams (1986)。現代のAIすべての基礎 |
| 遺伝的アルゴリズムで最短ルート シミュレーター | 遺伝的アルゴリズム(順序交叉・突然変異・エリート保存)による巡回セールスマン問題 | Holland (1975)。物流・配送ルート・回路設計で使われる進化計算 |
| コーヒーにミルクを落とすと 流体シミュレーター | ナビエ=ストークス方程式の数値解法(Stable Fluids) | Stam (1999, SIGGRAPH)。映画のVFX・ゲームの流体表現の標準手法 |
| 地震でビルはどう揺れる? 共振シミュレーター | 多質点系(せん断型モデル)の応答解析+共振 | 建築の耐震設計で使う基本モデル。固有周期 T≈0.02〜0.03×高さ(m) |
| 津波はなぜ岸で高くなる? シミュレーター | 浅水波方程式(1次元・有限差分) | 津波の伝播予測(気象庁・JAMSTEC)で実際に使われる基礎方程式 |
| 銀行の取り付け騒ぎシミュレーター | ダイアモンド=ディビッグ型モデル+不安の伝播(エージェントベース) | Diamond & Dybvig (1983, ノーベル経済学賞2022)。預金保険制度の理論的根拠 |
| 迷路をAIが解く 探索アルゴリズム対決 | グラフ探索(幅優先/深さ優先/A*/貪欲法)+迷路生成(再帰的バックトラック) | Hart, Nilsson & Raphael (1968) A*。カーナビ・ゲームAI・配送計画の経路探索の基礎 |
| AIはこうやって文章を作る マルコフ連鎖シミュレーター | n-gram言語モデル(マルコフ連鎖)+温度サンプリング | Shannon (1948)。ChatGPTの「次の語を予測する」原理の最小版 |
| 感染はこう広がる SIRシミュレーター | エージェントベースSIRモデル(感受性・感染・回復) | Kermack & McKendrick (1927)。感染症数理モデルの原点。ワクチン・行動制限の効果予測に使用 |
引用・転載について
本ラボの各シミュレーターの結果・画面は、出典を明記いただければ授業・ブログ・記事・社内資料への引用を歓迎します。事前連絡は不要です。
出典:シミュラボ「(シミュレーター名)」 https://shimulabo.com/sims/(slug)/よくある質問
- 「シミュレーション・ラボ」は他のシミュレーターと何が違う?
- ここに並ぶ20本は、単純な計算式ではなく、社会科学・物理学・計算機科学で実際に研究に使われている数理モデルやアルゴリズム(ロトカ・ヴォルテラ方程式、待ち行列、反復囚人のジレンマ、浅水波方程式、ニューラルネットワークなど)をブラウザ内で丸ごと動かしています。
- 結果は毎回同じ?
- 乱数を使うモデル(エージェントモデル・遺伝的アルゴリズムなど)は実行のたびに少しずつ違う結果になります。それ自体が「同じルールでも結果はばらつく」というモデルの性質です。
- 授業や記事で使っていい?
- はい。出典(シミュラボ+ページURL)を明記いただければ、授業・ブログ・ニュース記事・社内資料への引用を歓迎します。
- 入力したデータは送信される?
- いいえ。すべての計算はブラウザ内で完結し、サーバーには何も送られません。