ふしぎ・現象

津波はなぜ岸で高くなる? シミュレーター

沖合の船は津波にほとんど気づきません。ところが同じ波が岸に届くと、数倍の高さの壁になります。津波の予測に使われる「浅水波方程式」をブラウザで解いて、水深・傾斜・沖の高さを変えながら、その理由を見てください。

🧪 浅水波方程式(1次元・有限差分)
岸での高さ
沖の速さ
岸の速さ
岸に届くまで

青=海面(高さを強調表示)、茶=海底。津波は沖ではジェット機の速さ、岸では自動車の速さ。遅くなった分、波は縮んで高くなります。

ポイント:津波の速さは水深で決まります(v = √(g × 水深))。水深4,000mでは時速約700km、水深10mでは時速約36km。岸に近づいて速度が落ちると、後ろから来る波が追いつき、エネルギーが縮んだ分だけ高さが上がります。沖で1mなら、岸で3〜5mになることも珍しくありません。

この画面で解いている式

∂h/∂t + ∂(hu)/∂x = 0 (水の量は保存する)
∂u/∂t + u ∂u/∂x + g ∂η/∂x = 0 (水は水面の傾きの方向に加速する)

水深に比べて波長がはるかに長い波(津波の波長は数十〜数百km)は、この「浅水波方程式」で正確に記述できます。気象庁の津波予報も、この式を3次元の海底地形に適用して計算しています。本ページは1次元・有限差分法で、沖から岸までの断面を毎フレーム解いています。

グリーンの法則:高さは水深の4乗根に反比例

水深津波の速さ高さ(沖で1mの場合の理論値)
4,000m約710km/h1.0m(基準)
1,000m約360km/h1.4m
100m約110km/h2.5m
10m約36km/h4.5m

エネルギーが保存されるとき、津波の高さは水深の1/4乗に反比例します(グリーンの法則)。水深が4,000mから10mに(400分の1に)なると、高さは 400^0.25 ≈ 4.5倍。実際には湾の形(V字湾で集中)や海底の摩擦、砕波でさらに変わりますが、この式が「沖で小さく岸で大きい」理由の本質です。

「引き波」と逃げる時間

沖で津波が発生すると、岸に届くまでの時間は距離÷速さ。震源が近い日本海溝沿いでは数分〜30分で到達します。2011年の東北地方太平洋沖地震では、沖合のGPS波浪計で高さ約6mの津波を観測した後、岸では10〜15m(遡上高は最大40m)に達しました。「揺れたら、高い所へ」が鉄則である理由がこの速さと増幅にあります。

引用・転載について

本ページのシミュレーション結果・数値は、出典を明記いただければブログ・ニュース記事・SNS・授業や社内資料への引用を歓迎します。事前連絡は不要です。

推奨クレジット表記:出典:シミュラボ「津波はなぜ岸で高くなる? シミュレーター」 https://shimulabo.com/sims/tsunami-kishi/

よくある質問

普通の波と津波は何が違う?
風の波は波長が数十mで海面付近だけが動きますが、津波は波長が数十〜数百kmあり、海底から海面まで水全体が動きます。そのため運ぶエネルギーが桁違いで、高さ1mでも人は流されます。
岸での高さが理論値と違うのは?
本シミュレーターは海底の摩擦・砕波・波の非線形効果を簡略化しており、傾斜が急だと理論値より低く、緩いと近い値になります。実際の津波は湾の形状でさらに2〜3倍になることもあります。
津波の速さを実感するには?
水深4,000mでの時速700kmはジェット旅客機と同じです。沖にいる船が津波に気づかないのは、高さ1m・波長100kmの“うねり”が数分かけて通過するだけだからです。

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