ポイント:ビルには高さで決まる固有周期(1往復にかかる時間)があり、目安は「0.02〜0.03秒 × 高さ(m)」。10階建て(約30m)で約0.6〜0.9秒、50階建て(約200m)で4〜6秒です。地震の揺れの周期がこれに一致すると共振し、地面の揺れの数倍〜10倍以上に増幅されます。
この画面のモデル
各階を「質点」、柱を「ばね」とみなし、階数分の質点をばねで直列につないだ「せん断型多質点モデル」で計算しています。地面を横に揺らすと、1階から順に力が伝わり、ビル全体がしなります。これは実際の耐震設計で最初に用いる標準的なモデルです。
| 階数(高さ) | 固有周期の目安 | 揺れやすい地震 |
|---|---|---|
| 1〜5階(〜15m) | 0.1〜0.5秒 | 直下型の短い周期の揺れに共振。ガタガタと激しく揺れる |
| 10〜20階(30〜70m) | 0.6〜2秒 | 多くの地震のエネルギーが集中する帯域 |
| 30〜60階(100〜250m) | 3〜7秒 | 遠くの巨大地震の長周期地震動に共振。ゆっくり大きく、長く揺れる |
長周期地震動:高層ビルが遠くの地震で揺れる理由
2011年の東北地方太平洋沖地震では、震源から700km離れた大阪の55階建てビルが最上階で約2.7m(片側1.3m超)揺れ、10分以上揺れ続けました。短い周期の揺れは距離とともに減衰しますが、周期数秒の長周期地震動は減衰しにくく、堆積盆地(関東平野・大阪平野)で増幅されます。それが高層ビルの固有周期と一致したのです。
制振ダンパーのはたらき
共振を防ぐには周期をずらすか、揺れのエネルギーを吸収する「減衰」を増やします。オイルダンパー・粘弾性ダンパー・屋上の巨大なおもり(同調質量ダンパー)などがこの役割で、台北101の660トンの鉄球が有名です。本ページの「制振ダンパーの効き」を上げると、共振時の増幅率が急激に下がることが確認できます。
引用・転載について
本ページのシミュレーション結果・数値は、出典を明記いただければブログ・ニュース記事・SNS・授業や社内資料への引用を歓迎します。事前連絡は不要です。
推奨クレジット表記:
出典:シミュラボ「地震でビルはどう揺れる? 共振シミュレーター」 https://shimulabo.com/sims/building-quake/よくある質問
- 固有周期はどう計算している?
- ビルの階数 n から、高さ h≈3.5n(m)として T≈0.025h を目安に設定し、多質点モデルの1次モードがその周期になるようばね定数を決めています。実際の建物は構造(鉄骨・RC)で0.02〜0.03の係数が変わります。
- 免震と制振の違いは?
- 免震は建物と地面の間に柔らかい層(積層ゴム)を入れて周期を3〜4秒以上に延ばし、地震の主なエネルギー帯から外す方法。制振は建物内部にダンパーを入れて揺れを吸収する方法です。本ページの「ダンパー」は制振に相当します。
- 低いビルは安全?
- 共振する周期が短いため、直下型地震の短周期成分に反応しやすく、加速度(衝撃)は高層より大きくなりがちです。高層は揺れ幅が大きく、低層は衝撃が大きい、という違いです。