ふしぎ・現象

エレベーター待ち時間シミュレーター

「押したのに全然来ない」「上に行きたいのに下に行く」——エレベーターの動きには理由があります。階数・台数・混雑度・制御アルゴリズムを変えて、平均待ちと“最大待ち”がどう変わるかを見てください。

🧪 離散事象シミュレーション(SCAN/最短距離/先着順の群管理)
平均待ち時間
最大待ち時間
運んだ人数
いま待っている人

各階の点=待っている人(赤いほど長く待っている)。箱=かご(数字は乗っている人数)。1階が出入口で、利用者の半分は1階から乗ります。

ポイント:エレベーターの待ち時間を決めるのは「速さ」より制御アルゴリズムです。進行方向の呼びを順に拾う SCAN 方式は、平均も最大も安定します。最寄り優先は平均は良いのに端の階の人が延々と待たされることがあり、先着順は平均が大きく悪化します。

3つの制御方式の違い

方式動き方長所短所
進行方向優先(SCAN)上りなら上の呼びを順に全部拾ってから折り返す平均・最大とも安定。実際のエレベーターの基本混雑時は途中階で満員になりやすい
最短距離優先(SSTF)いま一番近い呼びへ向かう空いていれば平均待ちは最短遠い階の人が後回しにされ続ける“飢餓”が起きる
先着順(FCFS)呼ばれた順に律儀に向かう公平に見える行ったり来たりが増え、全員の待ちが長くなる

この3方式は、ハードディスクの読み書きヘッドをどう動かすかという「ディスクスケジューリング」とまったく同じ問題です。エレベーターの答えがコンピュータに、コンピュータの答えがエレベーターに使われています。

台数を増やすと何が変わるか

台数を2倍にしても、待ち時間は半分にはなりません。一方で、混雑度が処理能力に近づくと待ち時間は急激に伸びます(待ち行列の性質)。ビルの設計では「朝の出勤ピーク5分間に、在館人数の何%を運べるか(5分間輸送能力)」という指標で台数を決めます。オフィスビルでは11〜15%が目安です。

「押したのに来ない」の正体

SCAN方式では、上り運転中のかごは下の階の呼びを無視して上へ進み続けます。あなたの下の階で押した人は「目の前を通り過ぎた」ように感じますが、全体の平均待ちを最小にするための合理的な動きです。最大待ちが気になる高層ビルでは、低層用・高層用にかごを分ける(バンク分け)や、乗る前に行き先を入力する行先予報システムで解決しています。

引用・転載について

本ページのシミュレーション結果・数値は、出典を明記いただければブログ・ニュース記事・SNS・授業や社内資料への引用を歓迎します。事前連絡は不要です。

推奨クレジット表記:出典:シミュラボ「エレベーター待ち時間シミュレーター」 https://shimulabo.com/sims/elevator-sim/

よくある質問

エレベーターの速さを上げれば解決?
速さより「止まる回数」が支配的です。1回の停止(減速・ドア開閉・乗降)に10秒前後かかるため、途中階で何度も止まるほど遅くなります。急行運転や行先予報で停止回数を減らすのが実務的な解決策です。
行先予報システムって何?
乗る前にホールで行き先階を入力し、同じ階へ行く人を同じかごにまとめる方式です。停止回数が減るため、同じ台数で輸送能力が2〜3割上がるとされ、高層オフィスビルで普及しています。
現実のエレベーターはどの方式?
基本はSCAN(コレクティブ制御)で、複数台の場合はどのかごに呼びを割り当てるかを群管理コンピュータが決めています。最近はAIで乗客数を予測し、混む前にかごを配置する方式もあります。

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