ポイント:同じ有権者・同じ好みでも、数え方(投票方式)を変えるだけで勝者が変わることがあります。「どの方式が正しいか」には答えがなく、すべての望ましい性質を同時に満たす方式は存在しない——これが1951年に証明されたアローの不可能性定理です。
4つの投票方式
| 方式 | 数え方 | 長所 | 罠 |
|---|---|---|---|
| 単純多数決 | 1位票がいちばん多い候補が勝ち | 分かりやすい | 票が割れると、過半数に嫌われた候補が勝つ |
| 決選投票 | 上位2人で再投票 | 過半数の支持を得た候補が勝つ | 1回目で3位だった“みんなの2番手”が消える |
| ボルダ得点 | 1位2点・2位1点・3位0点の合計 | 幅広く好かれる候補が勝つ | 戦略的に嫌いな候補を最下位にする操作ができる |
| 総当たり(コンドルセ) | 全ペアで1対1対決し、全員に勝った候補が勝ち | 理屈のうえで最も“民意”に近い | 三すくみで勝者がいないことがある |
「最も嫌われた候補が勝つ」しくみ
A支持35%・B支持33%・C支持32%で、B支持者とC支持者は「Aだけは嫌」だとします。単純多数決ではAが勝ちますが、65%の人にとってAは最下位。1対1で比べれば、AはBにもCにも負けます。日本の小選挙区や知事選、アメリカ大統領選(2000年の第三候補問題)などで、この構造は現実に繰り返し起きています。
三すくみ:勝者が存在しない民意
「A>B」「B>C」「C>A」がそれぞれ多数派になる状況では、総当たりで全員に勝つ候補がいません。じゃんけんのような循環で、1785年にコンドルセ侯爵が発見しました。この場合、議題を出す“順番”を決める人が事実上の勝者を決められます——議会運営で議長が強い理由の1つです。
引用・転載について
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推奨クレジット表記:
出典:シミュラボ「多数決の罠 投票方式シミュレーター」 https://shimulabo.com/sims/tasuketsu-wana/よくある質問
- 結局どの方式がいちばんいい?
- 目的によります。「過半数に嫌われた候補を避けたい」なら決選投票や総当たり、「幅広く支持される候補を選びたい」ならボルダ。どの方式も何らかの罠を持つことが数学的に証明されており、方式の選択自体が政治的な決定です。
- 日本の選挙はどの方式?
- 衆議院の小選挙区・知事選・市長選はすべて単純多数決です。オーストラリアの下院やニューヨーク市長予備選は即時決選投票(順位付き投票)を採用しています。
- 割合の合計が100%を超えるとどうなる?
- 6つの数値の比率で計算するため、合計が100%でなくても問題ありません。全部0にするとエラー回避のため均等扱いになります。