ポイント:感染の広がりを決めるのは基本再生産数 R₀=1人の感染者が平均何人にうつすか。R₀が1を超えると流行し、1未満なら自然に収束します。ワクチンや外出制限は、感染の「山」を低く・遅くします。同じ最終感染者数でも、山を低くすれば医療が持ちこたえられる——これが「カーブをならす」の意味です。
SIRモデルの3つの状態
| 状態 | 意味 | 遷移 |
|---|---|---|
| S(Susceptible) | まだ感染していない人 | 感染者と接触すると一定確率で I へ |
| I(Infectious) | 感染中で、他人にうつす人 | 一定日数で R へ |
| R(Recovered) | 回復して免疫を持つ人(ワクチン接種者も含む) | 再感染しない |
1927年にカーマックとマッケンドリックが提案した、感染症数理モデルの原点です。本ページは方程式ではなく、1人1人が街を動き回って接触する「エージェントベース」で同じ現象を再現しています。動き回る速さ・接触時の感染確率・回復日数が、実効的な R₀ を決めます。
集団免疫の閾値
| R₀ | 必要な免疫保有率(1 − 1/R₀) |
|---|---|
| R₀ = 1.5(季節性インフルエンザ級) | 33% |
| R₀ = 2.5〜3 | 60〜67% |
| R₀ = 5〜6(新型コロナ変異株級) | 80〜83% |
| R₀ = 12〜18(麻疹) | 92〜95% |
免疫を持つ人の割合が 1 − 1/R₀ を超えると、感染者が平均1人未満にしかうつせなくなり、流行は起きません。ワクチン接種率のスライダーを上げていくと、ある割合を境に「山が立たなくなる」ことが確認できます。麻疹のワクチン接種率が95%必要と言われるのはこの計算です。
「動き回り」を減らす効果
外出しない人の割合を増やすと、接触の総数が減り、山は低く・遅くなります。ただし全員が家にいるわけにいかないため、実際には「一定期間だけ接触を減らして山をならし、その間にワクチンを行き渡らせる」戦略が取られました。本ページでも、外出制限とワクチンを組み合わせると、山を立てずに収束させられます。
引用・転載について
本ページのシミュレーション結果・数値は、出典を明記いただければブログ・ニュース記事・SNS・授業や社内資料への引用を歓迎します。事前連絡は不要です。
推奨クレジット表記:
出典:シミュラボ「感染はこう広がる SIRシミュレーター」 https://shimulabo.com/sims/kansen-agent/よくある質問
- 最終的な感染者数が100%にならないのは?
- 感染者が減ると接触相手も減るため、免疫のある人が増えた時点で流行は自然に終息します。R₀が2〜3でも、最終的な感染者は人口の8〜9割で止まるのがSIRモデルの結論です。
- マスクはどのスライダー?
- 「接触したときの感染しやすさ」がマスクや換気に相当します。「人の動き回り」が外出頻度や人混みの多さ、「外出しない人」が在宅・隔離です。
- 現実の予測はこれでできる?
- 本ページは原理を示す簡略モデルです。実際の予測では、年齢構成・接触パターン・潜伏期間・無症状感染などを加えた大規模モデルが使われますが、SIRの骨格はそのまま生きています。