ふしぎ・現象

行列、1列並び vs レジ別 どっちが速い?

銀行やATM、空港の保安検査は「1本の列から空いたところへ」。スーパーは「レジごとに並ぶ」。同じ客・同じレジ時間で2つの方式を同時に走らせると、待ち時間にどれだけ差が出るのかを見てください。

🧪 待ち行列理論(M/M/c・フォーク型 vs 個別列)
1列並び 平均待ち
レジ別 平均待ち
最大待ち(1列/レジ別)
レジ稼働率

上=1本の列(空いたレジへ)、下=レジ別に並ぶ。同じ客が同じ順番・同じレジ時間で来店しています。緑のマス=接客中。

ポイント:同じ客・同じレジ台数でも、「1本の列」のほうが平均待ち時間も最大待ち時間も短くなるのが待ち行列理論の結論です。レジ別に並ぶと、「自分の列の前の人が手間取る」という運の要素で、空いているレジがあるのに待つ人が出るからです。

なぜ1列のほうが速いのか

レジ別に並ぶ方式では、あるレジが手間取る客で止まっている間に、隣のレジが空いてしまう瞬間があります。この「レジが空いているのに待っている人がいる」時間が無駄です。1本の列なら、空いたレジにすぐ次の人が入るため、この無駄が構造的に起きません。列を作る側からすれば「待ちの不公平」がなくなることも大きな利点で、銀行・郵便局・空港・Apple Storeなどが1列方式を採用している理由です。

待ち時間が急に増える「稼働率」のライン

レジ稼働率(λ×s÷c)様子
〜70%ほぼ待たない。列ができてもすぐ消える
80%ときどき列。平均待ちがレジ時間の1〜2倍になる
90%つねに列。平均待ちがレジ時間の数倍。ばらつきの影響が激しい
95%以上待ち時間が爆発的に伸びる。少しの混雑増で列が無限に近づく

稼働率が同じでも、レジ時間のばらつきが大きいほど待ち時間は長くなります(ポラチェック=ヒンチンの公式)。「たまに手間取る客がいる」だけで、平均待ちは倍近くになることも。会計を速くするより、ばらつきを減らす(セルフレジの分離、カゴ数で列を分ける)ほうが効くこともあります。

現実の設計に使われている

待ち行列理論は1909年、デンマークの電話会社の技術者アーランが「交換手を何人置けば電話がつながるか」を計算するために生み出しました。現在はコールセンターのオペレーター数、病院の診察室数、サーバーの台数、ディズニーランドのファストパスまで、あらゆる「待ち」の設計に使われています。

引用・転載について

本ページのシミュレーション結果・数値は、出典を明記いただければブログ・ニュース記事・SNS・授業や社内資料への引用を歓迎します。事前連絡は不要です。

推奨クレジット表記:出典:シミュラボ「行列、1列並び vs レジ別 どっちが速い?」 https://shimulabo.com/sims/queue-docchi/

よくある質問

スーパーはなぜレジ別に並ぶの?
1本の列を作るには売り場の通路幅が必要で、カートを持った客が長い1列を作ると通路が塞がるためです。物理的な制約で、待ち時間の短さより売り場の動線を優先しています。
レジ別でも「空いたら移動」すれば同じでは?
移動(ジョッキング)を許すと差は縮まりますが、移動の判断が遅れる分だけ無駄が残ります。本シミュレーターのレジ別方式は「最初に短い列を選び、その後は移動しない」設定です。
待ち時間がずっと増え続けるのはなぜ?
稼働率が100%を超えると(客の到着がレジの処理能力を上回ると)列は理論上無限に伸びます。スライダーで到着を減らすかレジを増やしてください。

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