ポイント:キツネはウサギがいないと餓死し、ウサギはキツネがいないと増え続ける。この2つを式にしただけで、どちらも絶滅せず、一定の周期で増減を繰り返すことが導けます。増減は「振り子」のように永遠に続き、平衡点に落ち着きません。
この画面の裏で解いている式
dR/dt = αR − βRF (ウサギ:自然に増え、キツネに会うと減る)
dF/dt = δβRF − γF (キツネ:ウサギを食べると増え、自然に減る)
dF/dt = δβRF − γF (キツネ:ウサギを食べると増え、自然に減る)
R がウサギ、F がキツネの数です。式の中身は「ウサギとキツネが出会う回数は R×F に比例する」というだけ。この“出会いの項”が2つの種を結びつけ、周期的な振動を生みます。本シミュレーターはこの式をルンゲ=クッタ法で数値積分しています(δ=0.1で固定)。
スライダーで何が起きるか
| 操作 | 起きること |
|---|---|
| ウサギの増殖率 α を上げる | 波の山が高くなり、周期が短くなる。キツネの平均数(=α/β)が増える |
| 捕食率 β を上げる | キツネが効率よく食べるので、キツネの平衡数は減る(意外)。波が激しくなる |
| キツネの死亡率 γ を上げる | ウサギの平衡数(=γ/δ)が増える。キツネが減りやすく、ウサギ天国に近づく |
| キツネを半分に減らす | ウサギが一時的に急増→餌が増えたキツネが元以上に増える→ウサギ激減。“駆除の逆効果” |
現実で観測された「10年周期」
カナダのハドソン湾会社が19世紀から残した毛皮の取引記録では、カンジキウサギとカナダオオヤマネコの捕獲数が約10年周期で増減しており、この方程式の予測と驚くほど一致します。第一次世界大戦中にアドリア海で漁獲が減った際、サメなど捕食魚の割合が増えた現象を説明するために、数学者ヴォルテラがこの式を導いたのが始まりです。
害虫駆除で「殺虫剤を撒いたら害虫が前より増えた」という現象(駆除の逆効果)も、この式で説明できます。殺虫剤が害虫だけでなく天敵も減らすため、回復の早い害虫が先に増え、天敵が追いつく前に大発生するのです。
引用・転載について
本ページのシミュレーション結果・数値は、出典を明記いただければブログ・ニュース記事・SNS・授業や社内資料への引用を歓迎します。事前連絡は不要です。
推奨クレジット表記:
出典:シミュラボ「キツネとウサギ 増減シミュレーター」 https://shimulabo.com/sims/lotka-volterra/よくある質問
- なぜ平衡点に落ち着かないの?
- ロトカ・ヴォルテラ方程式は摩擦にあたる項を持たないため、振り子と同じでエネルギーが保存され、永遠に振動します。現実には環境収容力(餌の上限)などの項が加わるため、実際の生態系では振動が徐々に小さくなったり、逆に周期が安定したりします。
- キツネの平均数が「ウサギの増殖率」で決まるのはなぜ?
- 式を解くと、キツネの平均数は α/β、ウサギの平均数は γ/δ になります。つまりキツネの数はキツネ自身の性質ではなく、餌であるウサギがどれだけ増えるかで決まります。生態系の“意外な連鎖”です。
- 数値は現実の個体数?
- いいえ。単位は相対的なもので、表示は見やすさのために10倍しています。周期や増減のパターンを見る目的でお使いください。