エントロピー=場合の数
物理学者ボルツマンは、エントロピー S を「その状態が実現する配置の数 W」の対数として定義しました(S = k log W)。物が n 個・置き場所が m か所あるとき、「全部が定位置」は1通りですが、「k 個が定位置から外れている」配置は C(n,k)×(m−1)ᵏ 通りもあります。n=30・m=30 なら、10個外れた配置は 10²⁰ 通りを超えます。
| 定位置にない物の数(30個・置き場30か所) | 配置の場合の数 |
|---|---|
| 0個(完璧に片付いている) | 1通り |
| 1個 | 870通り |
| 5個 | 約2.9×10¹²通り |
| 10個 | 約1.5×10²¹通り |
| 15個 | 約2.3×10²⁷通り |
「戻す確率」の閾値
1日に使う物の数を u、戻す確率を r とすると、毎日 u(1−r) 個が定位置から外れ、外れている物は使われて戻る分だけ減ります。落ち着く先の「定位置にない物の数」はおおよそ n(1−r) 付近。戻す確率が9割でも1割は常に散らかっているため、「使ったら戻す」だけでは完璧には保てません。定期的な片付け(外部からエネルギーを入れる)が必要な理由です。
散らかりにくい部屋の設計
熱力学的に考えると、対策は3つ。①物の数 n を減らす(場合の数が減る)、②定位置を「使う場所のすぐそば」にして戻す確率 r を上げる、③片付けを毎日少しずつ行う(エントロピーの山を小さいうちに削る)。「片付けが続かない」のは性格ではなく、この3つのどれかが欠けている設計問題です。
引用・転載について
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出典:シミュラボ「部屋はなぜ勝手に散らかる? エントロピーシミュレーター」 https://shimulabo.com/sims/heya-chirakaru/よくある質問
- 散らかり度はどう計算している?
- 定位置にない物の数 k から、配置の場合の数 W = C(n,k)×(n−1)ᵏ を求め、その対数(log₁₀ W)を散らかり度として表示しています。
- 「30分片付け」ボタンは何をしている?
- 定位置から外れた物を10個、定位置に戻します。系の外からエネルギーを入れてエントロピーを下げる操作にあたります。
- 本当に物理学の話?
- 比喩ではなく、統計力学の考え方そのものです。「場合の数が多い状態へ向かう」という原理は、コーヒーとミルクが混ざる現象と部屋が散らかる現象の両方に共通します。