理科の授業向け

単振動シミュレーター(ばね振り子・単振り子)

ばね定数 k・質量 m・振幅 A を変えると、おもりの単振動と、それに対応する等速円運動が同時に動きます。変位・速度・加速度のグラフで位相のずれを、棒グラフで力学的エネルギーの保存を確かめられます。単振り子では、周期の近似式 T=2π√(L/g) と数値積分した実際の動きを重ねて比べられます。

🔬 物理 円運動と単振動
周期 T
—
振動数 f
—
速さの最大値
—
加速度の大きさの最大値
—

おもり(振り子)は指やペンでつかんで引っぱり、はなすと振動を始めます。青い矢印=速度 v、赤い矢印=復元力 F。紫の点は、半径=振幅の等速円運動をする点で、その真下の影(正射影)がおもりと同じ動きをします。グラフの縦の点線は1/4周期ごとです。単振り子では、灰色の振り子が近似式 T₀=2π√(L/g) どおりの動き、色のついた振り子が運動方程式を数値積分した実際の動きです。

このシミュレーションでわかること

ポイント:単振動は、等速円運動をする点を直径上に正射影した運動です。変位 x、速度 v、加速度 a は同じ周期で振動し、v は x より1/4周期、a は x と半周期ずれます。周期は、ばね振り子が T=2π√(m/k)、単振り子が T=2π√(L/g)(振れ角が小さいとき)で、どちらも振幅によらないのが特徴です。

高等学校「物理」の「(1) 様々な運動」(ウ)円運動と単振動 ㋑単振動(学習指導要領 平成30年告示)で学ぶ内容です。内容の取扱いでは「単振動をする物体の変位,速度,加速度及び復元力」を扱い、具体例として「ばね振り子と単振り子」を扱うことになっています。解説では、単振動を等速円運動と関連付けて扱うことや、単振り子の長さと周期との関係を調べる実験が例として挙げられています。このシミュレーションは、その作図と実験を画面の上で再現します。

ばね定数 k・質量 m・振幅 A を変えると、おもりの単振動と、それに対応する等速円運動(上の円)が同時に動き、x・v・a の時間変化のグラフと、運動エネルギー・弾性力による位置エネルギーの棒グラフがその場で描かれます。単振り子に切り替えると、近似式 T₀=2π√(L/g) どおりに動く振り子(灰色)と、運動方程式を数値積分して求めた実際の振り子を重ねて比べられます。

授業での使い方

生徒への問いの例:

  1. おもりの速さが最大になるのはどの位置でしょう。そのとき、加速度と復元力はどうなっているでしょう。
  2. おもりの質量を4倍にすると、周期は何倍になるでしょう。ばね定数を4倍にしたときはどうでしょう。
  3. 単振り子の振れ角を60°にすると、周期は T₀=2π√(L/g) より長くなるでしょうか、短くなるでしょうか。それはなぜでしょう。

しくみ・解説

用語の意味

変位・速度・加速度の式と位相のずれ

x=A sin ωt  v=Aω cos ωt  a=−Aω² sin ωt=−ω²x
速さの最大値 vmax=Aω(つり合いの位置) 加速度の大きさの最大値 amax=Aω²(振動の端)

振動の中心を時刻0に正の向きに通過するとき、変位は x=A sin ωt と表せます。速度 v は x より位相が π/2(1/4周期)進み、加速度 a は x と逆位相(位相が π ずれる)です。a=−ω²x なので、加速度はいつも変位と逆向きで、変位に比例します。このシミュレーションでは、おもりを端まで引いてからはなすので、x=A cos ωt(初期位相 π/2)のグラフになります。

おもりの位置速さ加速度の大きさ復元力の大きさ
つり合いの位置(x=0)最大(Aω)00
振動の端(x=±A)0最大(Aω²)最大(kA)

ばね振り子と単振り子の周期

ばね振り子:運動方程式 ma=−kx と a=−ω²x をくらべて ω=√(k/m) → T=2π√(m/k)
単振り子:復元力 −mg sinθ ≒ −(mg/L)x(θ が小さいとき)→ ω=√(g/L) → T=2π√(L/g)

計算例1(ばね振り子):k=20 N/m、m=0.50 kg のとき、T=2π√(0.50÷20)=2π×0.158=0.993 s。振幅 A=0.10 m なら、ω=√(20÷0.50)=6.32 rad/s、速さの最大値 Aω=0.632 m/s、加速度の大きさの最大値 Aω²=4.00 m/s²、力学的エネルギー ½kA²=0.100 J です(このシミュレーションの初期設定)。

計算例2(単振り子):長さ L=1.00 m、g=9.8 m/s² のとき、T=2π√(1.00÷9.8)=2.01 s。周期を2倍にするには、長さを4倍にします。周期の式には、おもりの質量も振幅も入っていません。

ばね振り子の周期の早見表(T=2π√(m/k)):

おもりの質量 mk=10 N/mk=20 N/mk=40 N/mk=80 N/m
0.10 kg0.63 s0.44 s0.31 s0.22 s
0.25 kg0.99 s0.70 s0.50 s0.35 s
0.50 kg1.40 s0.99 s0.70 s0.50 s
1.00 kg1.99 s1.40 s0.99 s0.70 s
2.00 kg2.81 s1.99 s1.40 s0.99 s

単振り子の周期の早見表(g=9.8 m/s²、振れ角が小さいとき):

振り子の長さ L周期 T=2π√(L/g)振動数 f=1/T
0.25 m1.00 s1.00 Hz
0.50 m1.42 s0.70 Hz
1.00 m2.01 s0.50 Hz
1.50 m2.46 s0.41 Hz
2.00 m2.84 s0.35 Hz

振れ角が大きいときの単振り子(近似のずれ)

T=2π√(L/g) は、sinθ≒θ と近似できる「振れ角が小さいとき」の式です。振れ角が大きいと、復元力 mg sinθ が近似の mgθ より小さくなるので、周期は少し長くなります。このシミュレーションでは、運動方程式 d²θ/dt²=−(g/L) sinθ をルンゲ=クッタ法(4次)で数値積分して実際の周期を求め、近似式の値とくらべています(数値積分の結果は、楕円積分による厳密な値と小数第4位まで一致することを確かめています)。

振れ角 θ₀T÷T₀近似式からのずれ長さ1.00mの振り子の周期(T₀=2.007 s)
5°1.0005+0.05%2.008 s
10°1.0019+0.19%2.011 s
20°1.0077+0.77%2.022 s
30°1.0174+1.74%2.042 s
45°1.0400+4.00%2.087 s
60°1.0732+7.32%2.154 s
90°1.1803+18.03%2.369 s

振れ角10°では0.2%ほど、30°では1.7%ほどのずれなので、授業の実験(振れ角10°前後)では近似式で十分です。

単振動の力学的エネルギー

ばね振り子:½mv²+½kx²=½kA²(一定)
単振り子:½mv²+mgL(1−cosθ)=mgL(1−cosθ₀)(一定)

おもりが端にあるとき運動エネルギーは0で位置エネルギーが最大、つり合いの位置を通るとき位置エネルギーが0で運動エネルギーが最大です。

このシミュレーションで単純にしていること

参考

引用・転載について

本ページのシミュレーション結果・数値は、出典を明記いただければブログ・ニュース記事・SNS・授業や社内資料への引用を歓迎します。事前連絡は不要です。

推奨クレジット表記:出典:シミュラボ「単振動シミュレーター(ばね振り子・単振り子)」 https://shimulabo.com/sims/tan-shindou/

よくある質問

単振動の周期は、なぜ振幅によらないのですか?
復元力が変位に比例する(F=−kx)ので、振幅を2倍にすると復元力も2倍になり、速さも2倍になります。進む距離が2倍でも速さが2倍なので、1往復にかかる時間は変わりません。式でも T=2π√(m/k) に振幅 A は入っていません。
ばね振り子の周期の求め方は?
T=2π√(m/k)(m:おもりの質量〔kg〕、k:ばね定数〔N/m〕)で求めます。例えば k=20 N/m、m=0.50 kg なら T=2π√(0.50÷20)≒0.99 s です。質量を4倍にすると周期は2倍、ばね定数を4倍にすると周期は1/2倍になります。
単振り子の周期の式 T=2π√(L/g) は、いつでも使えますか?
振れ角が小さいとき(sinθ≒θ と近似できるとき)の式です。振れ角が大きいと実際の周期は少し長くなり、30°で約1.7%、60°で約7.3%、90°で約18%長くなります。授業の実験のように振れ角が10°前後なら、ずれは0.2%ほどです。
単振動で、速さが最大になる位置と、加速度が最大になる位置はどこですか?
速さが最大(Aω)になるのはつり合いの位置(x=0)で、そのとき加速度と復元力は0です。加速度の大きさが最大(Aω²)になるのは振動の端(x=±A)で、そのとき速さは0です。
鉛直につるしたばね振り子の周期は、水平のときと同じですか?
同じです。重力は、つり合いの位置(ばねが mg/k だけのびた位置)をずらすだけで、そこからの変位に対してはたらく力は −kx のままです。そのため周期は T=2π√(m/k) になります。
単振動と等速円運動は、どのような関係ですか?
半径 A・角速度 ω の等速円運動をする点を、直径上に正射影(真横や真上から光を当てたときの影)すると、振幅 A・角振動数 ω の単振動になります。単振動の速度・加速度は、円運動の速度・向心加速度を正射影したものです。

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