このシミュレーションでわかること
中学校第1学年の理科「力の働き」で学ぶ内容です。おもりの数と、ばねの強さ(1 Nの力で何cmのびるか)を変えると、ばねがのびて、測定した点が力とのびのグラフに打たれていきます。2本のばねをくらべたり、弾性の限界をこえて元にもどらなくなるようすを見たりすることもできます。
授業での使い方
導入:予想を立てる
「おもりを2個、3個とふやしていくと、ばねののびはどうなるだろう」と予想させてから、おもりを1個ずつつるします。おもりを1個ふやすごとに、のびが同じだけふえることに気づかせます。左の図をタップしても、おもりが1個ふえます。
展開:グラフに表してきまりを見つける
ばねばかりやばねを使った実験の前後に使います。「測定のずれ:あり」にすると、実際の実験のように点が少しずつずれます。点を折れ線で結ぶのではなく、点の並びの真ん中を通る直線を引くことを、「直線を引く」ボタンで確かめられます。ばねAとばねBの強さを変えて、直線の傾きのちがいもくらべます。
まとめ:重さと質量・弾性の限界
「月面で調べる」を押すと、同じおもりなのにばねののびが約6分の1になります。「ばねばかりではかる重さは場所で変わるが、てんびんではかる質量は変わらない」ことを確かめます。また、100 gのおもりを使ってやわらかいばねを大きくのばすと、弾性の限界をこえて、おもりをはずしても元の長さにもどらなくなるようすが見られます。
生徒への問いの例
- 0.2 Nの力で1 cmのびるばねに、0.6 Nの力を加えると何cmのびるでしょう。(答え:3 cm)
- グラフで、点を折れ線で結ばずに直線を引くのはなぜでしょう。
- 質量60 gのおもりを月面でばねにつるすと、ばねののびと、おもりの質量はどうなるでしょう。
しくみ・解説
力・重さ・質量とは
- フックの法則とは、ばねののびが、ばねに加える力の大きさに比例するという法則です。
- 重さとは、物体にはたらく重力の大きさのことで、単位はニュートン(記号 N)です。ばねばかりではかります。
- 質量とは、物体そのものの量のことで、場所によって変わらず、単位はgやkgです。上皿てんびんや電子てんびんではかります。
- 1 Nとは、質量が約100 gの物体にはたらく重力の大きさです。
- 弾性とは、変形した物体が元にもどろうとする性質のことです。力を加えすぎて元にもどらなくなる限度を弾性の限界といいます。
おもりの重さ〔N〕≒ 質量〔g〕÷ 100(地球上)
月面での重さ ≒ 地球での重さ × 1/6(質量は同じ)
早見表(おもりの質量と重さ・ばねののび)
| おもりの質量 | 重さ(地球) | ばねA(1 Nで5 cm)ののび | ばねB(1 Nで2.5 cm)ののび | 月面での重さ |
|---|---|---|---|---|
| 20 g | 0.2 N | 1.0 cm | 0.5 cm | 約0.03 N |
| 40 g | 0.4 N | 2.0 cm | 1.0 cm | 約0.07 N |
| 60 g | 0.6 N | 3.0 cm | 1.5 cm | 約0.1 N |
| 80 g | 0.8 N | 4.0 cm | 2.0 cm | 約0.13 N |
| 100 g | 1 N | 5.0 cm | 2.5 cm | 約0.17 N |
| 200 g | 2 N | 10.0 cm | 5.0 cm | 約0.33 N |
| 300 g | 3 N | 15.0 cm | 7.5 cm | 約0.5 N |
計算問題の解き方
例:0.3 Nの力で1.5 cmのびるばねがあります。
- 0.9 Nの力を加えたときののび:力が 0.9÷0.3=3倍 なので、のびも3倍 → 1.5×3=4.5 cm
- 6 cmのばすのに必要な力:1 cmあたり 0.3÷1.5=0.2 N なので → 0.2×6=1.2 N
- 質量120 gのおもりをつるしたときののび:重さは 120÷100=1.2 N → 上の2. より 6 cm
2力のつり合い
おもりが止まっているとき、おもりには下向きの重力と、ばねが上向きに引く力がはたらいていて、2つの力はつり合っています。図の矢印のように、2力がつり合う条件は「大きさが等しい」「向きが反対」「一直線上にある」の3つです。だから、ばねののびで、おもりにはたらく重力の大きさ(重さ)をはかることができます。
グラフのかき方と誤差
測定値には必ず誤差(ずれ)がふくまれます。そのため、点を折れ線で結ぶのではなく、点の並びの真ん中を通るように、なめらかな線(ここでは原点を通る直線)を引きます。直線になったことから、ばねののびは力の大きさに比例するとわかります。このシミュレーションの「直線を引く」は、原点を通る直線のうち、点からのずれがいちばん小さくなる直線(最小二乗法)を引いています。
高校の発展:ばね定数
高校の物理基礎では、ばねの弾性力の大きさ F〔N〕と、ばねののび x〔m〕の関係を F=kx と表し、k をばね定数〔N/m〕といいます。1 Nで5 cm(0.05 m)のびるばねのばね定数は 1÷0.05=20 N/m です。ばね定数が大きいほど、のびにくい(かたい)ばねです。
このシミュレーションで単純化していること
- 教科書にならって、質量100 gの物体にはたらく重力を1 Nとしています。正確には、地球上で約0.98 N(重力加速度 9.8 m/s²)です。
- 月面の重力は地球の約6分の1(月面の重力加速度 約1.6 m/s²)としています。
- ばねの重さや、ばねがのび始めるまでの小さな力は考えていません。
- 弾性の限界は、どのばねも「のびが16 cmをこえたとき」としています。こえたあとは、のびが急に大きくなり、おもりをはずしても元の長さにもどらないように描いています。実際のばねの弾性の限界は、ばねの材料や太さによってちがいます。実験では、ばねを大きくのばしすぎないようにしましょう。
- 「測定のずれ:あり」では、のびの読み取りに ±0.4 cm以内のずれをランダムに加えています。
参考
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編」第1分野(1)身近な物理現象(イ)力の働き https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387016.htm
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編」物理基礎 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1407074.htm
- 中学校理科の教科書(東京書籍「新しい科学」1年、啓林館「未来へひろがるサイエンス」1年 など)の「力の働き」の単元
- 国立天文台 編「理科年表」(重力加速度、月の重力)
引用・転載について
本ページのシミュレーション結果・数値は、出典を明記いただければブログ・ニュース記事・SNS・授業や社内資料への引用を歓迎します。事前連絡は不要です。
出典:シミュラボ「ばねののびと力のシミュレーター(フックの法則・重さと質量)」 https://shimulabo.com/sims/bane-nobi/よくある質問
- ばねののびと力の大きさには、どんな関係がありますか?
- ばねののびは、ばねに加える力の大きさに比例します。これをフックの法則といいます。たとえば、0.2 Nで1 cmのびるばねは、0.4 Nで2 cm、0.6 Nで3 cmのびます。力の大きさとのびのグラフは、原点を通る直線になります。
- 1 N(ニュートン)はどれくらいの力ですか?
- 質量が約100 gの物体にはたらく重力の大きさが、およそ1 Nです。20 gのおもりなら約0.2 N、50 gなら約0.5 Nです。正確には、100 gの物体にはたらく重力は地球上で約0.98 Nです。
- 重さと質量のちがいは何ですか?
- 重さは物体にはたらく重力の大きさで、単位はN(ニュートン)、ばねばかりではかり、場所によって変わります。質量は物体そのものの量で、単位はgやkg、てんびんではかり、どこでも変わりません。月面では、重さは地球の約6分の1になりますが、質量は同じです。
- 月面でばねにおもりをつるすと、のびはどうなりますか?
- 月面では重力が地球の約6分の1なので、同じおもりでもばねを引く力(重さ)が約6分の1になり、ばねののびも約6分の1になります。おもりの質量は変わらないので、てんびんではかると地球と同じ値になります。
- 弾性の限界をこえると、どうなりますか?
- ばねを大きくのばしすぎて弾性の限界をこえると、力とのびが比例しなくなり、おもりをはずしても元の長さにもどらなくなります。グラフでは、それまでの直線から点がはずれていきます。
- グラフをかくとき、点を折れ線で結ばないのはなぜですか?
- 測定値には必ず誤差(ずれ)がふくまれるからです。点の並びの真ん中を通るように直線(または、なめらかな曲線)を引くと、ばねののびと力の本当の関係がわかります。ばねの実験では、原点を通る直線になります。