このシミュレーションでわかること
小学校5年の理科「振り子の運動」(学習指導要領 第5学年 A(2))で学ぶ内容です。変える条件を1つだけにして、ほかの条件は同じにする「条件をそろえた調べ方」の練習にも使えます。
授業での使い方
- 導入:ブランコやメトロノームを思い出させ、「振り子が1往復する時間は、何によって変わるのだろう」と問いかけます。糸の長さ・おもりの重さ・振れ幅の3つについて予想を立てます。
- 展開:実験の計画を立てるときに使います。条件を変えると、前の記録とくらべて「変えた条件が1つだけか」が表示されます。「手で計ったときのずれ」を「あり」にして同じ条件で3回計ると、毎回少しずつちがう時間になり、平均をとる意味がわかります。実物の実験の前の練習や、実験のあとの確かめにも使えます。
- まとめ:記録表から「1往復の時間を変えるのは振り子の長さだけ」であることを確かめます。発展として、長さを4倍(25cm→100cm)にすると、1往復の時間がおよそ2倍(約1.0秒→約2.0秒)になることも見つけられます。振り子の長さで速さを調節する、メトロノームのものづくりにもつなげられます。
児童への問いの例:
- おもりを重くすると、1往復の時間は長くなるでしょうか、短くなるでしょうか。
- 1往復の時間を長くするには、どの条件をどう変えればよいでしょう。
- 1往復ではなく、10往復の時間を計って10でわるのはなぜでしょう。
しくみ・解説
1往復と振り子の長さ
1往復は、おもりが手をはなした所から反対側まで行き、また元の所にもどってくるまでです。振り子の長さは、糸をつるした所(支点)から、おもりの中心までの長さです。
10往復の時間から1往復の時間を求める
例:10往復が14.19秒なら、14.19÷10=1.419 → 約1.42秒
1往復は1〜2秒くらいと短いので、ストップウォッチをおすタイミングのずれ(0.2秒くらい)が大きく効いてしまいます。10往復の時間を計って10でわると、ずれも10分の1になります。さらに、同じ条件で3回計って平均をとると、より正しい時間になります。
例:14.1秒、14.3秒、14.2秒 → 平均は(14.1+14.3+14.2)÷3=14.2秒 → 1往復は 14.2÷10=1.42秒
振り子の長さと1往復の時間(早見表)
| 振り子の長さ | 10往復の時間 | 1往復の時間(10往復÷10) |
|---|---|---|
| 10cm | 6.35秒 | 0.64秒 |
| 20cm | 8.98秒 | 0.90秒 |
| 25cm | 10.04秒 | 1.00秒 |
| 30cm | 10.99秒 | 1.10秒 |
| 40cm | 12.69秒 | 1.27秒 |
| 50cm | 14.19秒 | 1.42秒 |
| 60cm | 15.55秒 | 1.56秒 |
| 70cm | 16.79秒 | 1.68秒 |
| 75cm | 17.38秒 | 1.74秒 |
| 80cm | 17.95秒 | 1.80秒 |
| 90cm | 19.04秒 | 1.90秒 |
| 100cm | 20.07秒 | 2.01秒 |
このシミュレーションでは、高校の物理で学ぶ単振り子の式 T=2π√(L÷g)(T:1往復の時間〔秒〕、L:振り子の長さ〔m〕、g:重力加速度 9.8m/s²)で時間を計算しています。この式には、おもりの重さも振れ幅も入っていません。長さを4倍にすると、1往復の時間は2倍になります。
振れ幅が大きいと、ほんの少し長くなる(高校で学ぶ内容)
上の式は、振れ幅が小さいときに成り立つ式です。くわしく計算すると、振れ幅が大きいほど1往復の時間はほんの少し長くなり、振れ幅30°では約1.7%長くなります(長さ1mの振り子なら、10往復で約0.35秒)。小学校の実験くらいの振れ幅では、手で計るずれと同じくらいの小さな差なので、「振れ幅では変わらない」と考えてよいです。このシミュレーションでは、振れ幅による差は入れていません。
このシミュレーションで単純にしていること・実験の注意
- 空気のていこうや、支点のまさつは考えていません。そのため振れ幅はへりません。実際の振り子は少しずつ振れ幅が小さくなりますが、1往復の時間はほとんど変わりません。
- 糸はのびず、糸の重さはないものとして計算しています。
- 実物の実験でおもりを重くするときは、おもりを下につなげてつるさないようにします。おもり全体の中心が下がって、振り子の長さも変わってしまうからです(このシミュレーションでは、おもりの中心の位置は変わりません)。
- 「手で計ったときのずれ」を「あり」にすると、10往復の時間に −0.2〜+0.2秒のずれをランダムに加えます。
参考
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編」第5学年 A(2)振り子の運動(文部科学省 学習指導要領解説のページ)
- 小学校理科の教科書(東京書籍「新しい理科」、啓林館「わくわく理科」、大日本図書「たのしい理科」など)5年の振り子の単元
- 高等学校「物理」の教科書(単振り子の周期 T=2π√(L/g))
引用・転載について
本ページのシミュレーション結果・数値は、出典を明記いただければブログ・ニュース記事・SNS・授業や社内資料への引用を歓迎します。事前連絡は不要です。
出典:シミュラボ「振り子の実験シミュレーター(1往復の時間を調べよう)」 https://shimulabo.com/sims/furiko-jikken/よくある質問
- 振り子が1往復する時間は、何によって変わりますか?
- 振り子の長さ(糸をつるした所からおもりの中心までの長さ)によって変わります。おもりの重さや振れ幅を変えても、1往復の時間はほとんど変わりません。振り子が長いほど、1往復の時間は長くなります。
- なぜ10往復の時間を計って10でわるのですか?
- 1往復は1〜2秒くらいと短く、ストップウォッチをおすタイミングのずれが大きく効くからです。10往復の時間を計って10でわると、ずれの影響が10分の1になります。同じ条件で何回か計って平均をとると、さらに正確になります。
- 振り子の長さは、どこからどこまでですか?
- 糸をつるした所(支点)から、おもりの中心までです。おもりのはしではなく、中心までを計ることに注意しましょう。
- おもりの数をふやすとき、下につなげてはいけないのはなぜですか?
- おもりを下につなげると、おもり全体の中心が下にずれて、振り子の長さまで長くなってしまうからです。重さだけを変えたいときは、おもりを同じ所に重ねてつるし、振り子の長さを変えないようにします。
- 1往復がちょうど1秒になる振り子の長さは?
- 約25cm(計算では24.8cm)です。1往復が2秒になる長さは約1m(99.3cm)です。長さを4倍にすると、1往復の時間は2倍になります。
- 振れ幅を大きくしても、本当に時間は変わらないのですか?
- 振れ幅が小さいうちは、ほとんど変わりません。くわしく計ると、振れ幅が大きいほどほんの少し長くなり、振れ幅30°では約1.7%長くなります。これは高校の物理で学ぶ内容で、小学校の実験では手で計るずれにかくれてしまうくらいの小さな差です。