ふしぎ・現象

鳥の群れシミュレーター(ボイド)

一羽一羽は「ぶつからない・向きを合わせる・近づく」の3つだけ。リーダーもいないのに、全体としては生きた群れのような動きが生まれます。

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中央のルールだけで動く「ボイド」たち。だれも全体を指揮していないのに群れになります。

3つのルール

ボイド(鳥の群れ)の3つのルールの図。近すぎる範囲(約16)の仲間から離れる分離、見える範囲(半径40)の仲間の平均の速度に5%ずつ近づける整列、仲間の重心へ寄る結合を、真ん中の1羽と仲間の位置・矢印で示している。
図1 群れの3つのルール。1羽ずつが「見える範囲の仲間」だけを見て、分離・整列・結合の3つを足して進む。PNGで保存・SVG
ボイドのシミュレーションで90羽がはじめはばらばらの向きから、約2秒後・約5秒後・約10秒後と群れになっていくようすと、向きのそろい具合が0.1前後から約0.9まで上がるグラフ。
図2 群れができていくようす(シミュと同じ計算の一例)。まわりに合わせるだけで、全体の向きがそろっていく。PNGで保存・SVG

図はタップすると大きく表示されます。資料やSNSに使うときは、出典「シミュラボ」とページのURLを添えてください。

1986年にレイノルズが考案。中央の指揮者なしに、局所的なルールだけで群れの動きが生まれます(創発)。映画やゲームの群衆表現にも使われています。

3ルールの中身(数式にすると)

各個体は自分の周り(視野半径 r)にいる仲間だけを見て、次の3つの“力”を足し合わせて進みます。

ルール計算内容効果
分離近すぎる仲間から離れる向き近い仲間ほど強く働く(距離に反比例)
整列周りの平均速度ベクトルに自分を寄せる群れ全体の向きを揃える
結合周りの重心へ向かう群れを1つにまとめる

3つの力に重みを掛けて足し、速度に上限を付けるだけ。個体は「群れ全体」を知りません。それでも全体には、旋回・分裂・合流といった生き物らしい動きが立ち上がります。これが創発(emergence)です。

現実での使われ方

ボイドは1986年にクレイグ・レイノルズが発表し、1992年の映画『バットマン リターンズ』のコウモリやペンギンの群衆表現に使われたのが有名です。現在はゲームの群衆AI、ドローンの編隊飛行、魚群や渡り鳥の研究モデルにも応用されています。

観察のコツ

群れの数を増やすと、群れが2つに割れてまた合流する様子が見えます。分離が強すぎるとバラバラに、結合が強すぎると団子状に。自然な群れは「その中間」の狭い範囲にしか現れません。

よくある質問

本物の鳥もこれ?
完全に同じではありませんが、群れの動きをよく再現できることで知られています。
データは送信されますか?
いいえ。すべてブラウザ内で動作します。
群れが2つに分かれるのはなぜ?
向きの違う2つの塊が出会うと、整列ルールが局所的に別々の平均を取るため、しばらく併走してから分かれたり合流したりします。リーダーがいないので、どちらが勝つかは偶然で決まります。
本物の鳥はどう決めている?
ムクドリの群れの研究では、各個体は「距離に関係なく近い順に約7羽」を見ているとされます。ボイドの“視野半径”の考え方は、この観察結果とよく合います。

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