理科の授業向け

記録タイマーと台車の運動シミュレーター(斜面の運動・自由落下)

斜面の角度を決めて「スタート」をおすと、台車が斜面を下り、記録タイマーの打点が記録テープに並びます。0.1秒ごとに切ったテープを並べたテープグラフと、移動距離(速さ)-時間のグラフが同時にできあがります。

🔬 中3 運動の規則性(記録タイマー・斜面の運動)
運動のようす
—
0.1秒ごとのテープの増え方
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打点の間かく
—
0.5秒後の速さ
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斜面の角度は0°で水平、90°で自由落下です。「最初に押す速さ」は台車を押し出す速さです(斜面では0のとき静止からはなします)。テープは0.1秒(50回打点なら5打点、60回打点なら6打点)ごとに黄色と水色で色分けしています。テープグラフの赤い点線は、テープの上の端をつないだ線(速さ-時間のグラフと同じ形)です。条件を変えて記録すると、前の記録が灰色の点線で残ります。摩擦と空気の抵抗は考えていません(g=9.8m/s²)。斜面の長さは2.0mで、図の大きさは見やすく変えています。

このシミュレーションでわかること

ポイント:斜面を下る台車は、斜面に沿った一定の力を受け続けるので、速さが時間に比例して一定の割合で増えます。斜面の角度が大きいほど速さの増え方は大きくなり、角度が90°のとき(自由落下)にいちばん大きくなります。水平面で力がはたらかないときは、台車は等速直線運動をします。

中学校3年の理科「運動とエネルギー」の(イ)運動の規則性(学習指導要領 第1分野(5)ア(イ)㋑「力と運動」)で学ぶ内容です。高校の物理基礎「運動の表し方」「直線運動の加速度」の導入にも使えます。

斜面の角度(0°=水平、90°=自由落下)を決めて「スタート」をおすと、記録タイマーが1秒間に50回(東日本)または60回(西日本)テープに打点します。テープは0.1秒ごと(5打点ごと/6打点ごと)に色分けされ、切ったテープを順にならべたテープグラフと、移動距離-時間(または速さ-時間)のグラフが同時にできあがります。

授業での使い方

生徒への問いの例:

  1. テープグラフのテープの上の端をつなぐと、どんな形の線になるでしょう。その線は何を表しているでしょう。
  2. 斜面の角度を2倍にすると、速さの増え方も2倍になるでしょうか。(15°と30°で比べてみよう)
  3. 西日本(1秒間に60回)の記録タイマーでは、何打点ごとに切れば0.1秒ごとのテープになるでしょう。

しくみ・解説

用語の意味

打点の間かくと0.1秒の区切り方

地域(電源の周波数)1秒間に打つ点の数打点の間かく0.1秒分のテープ
東日本(50Hz)50回1/50秒=0.02秒5打点ごと(打点の間が5つ)
西日本(60Hz)60回1/60秒=約0.017秒6打点ごと(打点の間が6つ)

記録タイマーは、コンセントの交流(東日本50Hz・西日本60Hz)に合わせて振動して点を打つので、地域によって1秒間に打つ点の数がちがいます。0.1秒ごとに切れば、どちらの地域でもテープの長さは同じになります(このシミュレーションの「打点の数」を切りかえて確かめられます)。最初の打点が重なって見分けにくい部分は、実際の実験では切り捨ててから区切ります。

テープの長さから速さを求める

0.1秒間の平均の速さ(cm/s)= 0.1秒分のテープの長さ(cm)÷ 0.1(秒)= テープの長さ × 10
例:0.1秒分のテープが6.3cmなら、6.3 ÷ 0.1 = 63cm/s

テープグラフのテープの長さは「0.1秒間に進んだ距離」なので、速さに比例します。テープの上の端の真ん中をつないだ線は、速さ-時間のグラフと同じ形になります。斜面を下る台車では右上がりの直線、水平面で押した台車では横に平らな直線になります。

斜面の角度と速さの増え方(早見表)

斜面に沿った力 = 重力 × sinθ(斜面のどこでも一定)
速さの増え方(加速度)a = g × sinθ(g=9.8m/s²)
t秒後の速さ v = a × t、t秒間の移動距離 x = ½ × a × t²
0.1秒ごとのテープは、1本ごとに a × 0.1² = a(cm)ずつ長くなる
斜面の角度sinθ速さの増え方 a(m/s²)0.1秒ごとのテープの長さ ①〜⑤(cm)1本ごとに長くなる長さ0.5秒後の速さ(cm/s)
0°(50cm/sで押す)0.0000.005.00、5.00、5.00、5.00、5.000(同じ長さ)50
10°0.1741.700.85、2.55、4.25、5.96、7.661.70cm85
15°0.2592.541.27、3.80、6.34、8.88、11.412.54cm127
20°0.3423.351.68、5.03、8.38、11.73、15.083.35cm168
30°0.5004.902.45、7.35、12.25、17.15、22.054.90cm245
45°0.7076.933.46、10.39、17.32、24.25、31.186.93cm346
60°0.8668.494.24、12.73、21.22、29.70、38.198.49cm424
90°(自由落下)1.0009.804.90、14.70、24.50、34.30、44.109.80cm490

表の数値は、摩擦や空気の抵抗がないとして a=9.8×sinθ で計算したものです(このシミュレーションと同じ計算)。たとえば15°では、0.1秒ごとのテープが 1.27、3.80、6.34 … cm と、1本ごとに2.54cmずつ長くなります。中学校では速さの変わり方を「斜面の角度が大きいほど、速さの増え方が大きい」と定性的に扱い、a=g sinθ の式は高校の物理基礎で学びます。

計算問題の解き方

例:1秒間に50回打点する記録タイマーで、台車の運動を記録しました。5打点ごとに切ったテープの長さが、順に 2.0cm、4.0cm、6.0cm でした。3本目のテープの間の平均の速さは何cm/sですか。

  1. 5打点分は 0.02秒 × 5 = 0.1秒
  2. 3本目は0.1秒間に6.0cm進んだので、6.0 ÷ 0.1 = 60cm/s
  3. テープが1本ごとに2.0cmずつ長くなっているので、速さは0.1秒ごとに20cm/sずつ増えている(一定の割合で速くなる運動)

このシミュレーションで単純にしていること

参考

引用・転載について

本ページのシミュレーション結果・数値は、出典を明記いただければブログ・ニュース記事・SNS・授業や社内資料への引用を歓迎します。事前連絡は不要です。

推奨クレジット表記:出典:シミュラボ「記録タイマーと台車の運動シミュレーター(斜面の運動・自由落下)」 https://shimulabo.com/sims/kiroku-timer/

よくある質問

記録タイマーのテープを5打点ごと(6打点ごと)に切るのはなぜですか?
0.1秒ごとの移動距離を比べるためです。1秒間に50回打点する記録タイマー(東日本)は打点の間かくが0.02秒なので、5打点分で0.1秒になります。1秒間に60回打点する記録タイマー(西日本)は6打点分で0.1秒です。
テープグラフの見方を教えてください。
テープグラフは、0.1秒ごとに切ったテープを時間の順にならべたグラフです。テープの長さは0.1秒間に進んだ距離なので、速さに比例します。テープの上の端をつなぐと速さ-時間のグラフと同じ形になり、斜面を下る台車では右上がりの直線になります。
斜面の角度を大きくすると、台車の運動はどう変わりますか?
斜面に沿った力(重力×sinθ)が大きくなるので、速さの増え方が大きくなります。摩擦がないとき、速さの増え方は 9.8×sinθ(m/s²)で、15°で約2.54、30°で4.9、90°(自由落下)で9.8 です。斜面の角度が90°のときが自由落下で、速さの増え方がいちばん大きくなります。
水平面で台車を押して手をはなすと、どんな運動になりますか?
台車の運動の向きに力がはたらかないので、手をはなしたときの速さのまま一直線上を進む等速直線運動になります(慣性の法則)。0.1秒ごとのテープの長さがすべて同じになります。実際は摩擦があるので、少しずつおそくなります。
台車を重くすると、斜面を下る速さの増え方は変わりますか?
摩擦や空気の抵抗がなければ変わりません。台車が重くなると斜面に沿った力も同じ割合で大きくなるため、速さの増え方は 9.8×sinθ のままです。実際の実験では、摩擦の影響で少しちがいが出ることがあります。
東日本と西日本で、記録タイマーが1秒間に打つ点の数がちがうのはなぜですか?
記録タイマーは家庭用の交流電源の周波数に合わせて点を打つからです。電源の周波数は東日本が50Hz、西日本が60Hzなので、1秒間に打つ点の数はそれぞれ50回と60回になります。

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