同期はなぜ起きる?
それぞれのホタルは自分のリズムで光りますが、まわりが光ると自分のリズムを少しだけ合わせます。この弱い引き込みが積み重なると、全体がひとつのリズムに揃います。これを蔵本モデル(同期現象)といいます。心臓のペースメーカー細胞や、橋を渡る歩行者の歩調が揃う現象などにも見られます。
蔵本モデルの式
ホタル i の位相 θᵢ(点滅のタイミング)は次の式で動きます。ωᵢ が各自のリズム、K が「影響し合う強さ」です。
dθᵢ/dt = ωᵢ + (K/N)·Σⱼ sin(θⱼ − θᵢ)
1975年に蔵本由紀(京都大学)が提案し、世界中で「Kuramoto model」として使われています。K がある臨界値を超えると、リズムのばらつきがあっても全体が一斉に揃う——「同期の相転移」が数学的に示せる、極めて美しいモデルです。
| 影響し合う強さ K | 様子 |
|---|---|
| 0 | 互いに無関係。いつまでもバラバラ |
| 小さい | 少しまとまるが、リズムの違う個体は取り残される |
| 臨界値付近 | 揃う集団が急に大きくなる(相転移) |
| 大きい | ほぼ全員が同じタイミングで点滅 |
同期が起きている現実の例
東南アジアのホタルの一斉発光、心臓のペースメーカー細胞(数千個の細胞が揃って拍動を作る)、コオロギの合唱、拍手が自然に揃う現象。2000年のロンドン・ミレニアム橋では、歩行者の歩調が橋の横揺れと同期して大きく揺れ、開通2日で閉鎖されました(後に制振装置を追加して再開)。
よくある質問
- 強さを0にすると?
- お互いに影響しなくなり、いつまでもバラバラのままになります。
- データは送信されますか?
- いいえ。すべてブラウザ内で動作します。
- 全員のリズムが違っても揃う?
- リズムのばらつきが小さければ、十分な K で揃います。ばらつきが大きいほど必要な K も大きくなり、それでも揃わない個体が残ることがあります。
- メトロノームが揃う動画は同じ現象?
- はい。共通の台(動く板)を通じて互いに力を及ぼし合うことで同期します。ホイヘンスが1665年に振り子時計で発見した、最も古い同期現象の記録です。