理科の授業向け

光合成と呼吸のシミュレーター(気体の出入り・BTB溶液・ヨウ素液・蒸散)

光の強さ(または晴れた日の時刻)を変えると、葉が取り入れる・出す酸素と二酸化炭素の量が変わり、光合成と呼吸の差し引きがグラフで分かります。BTB溶液・ヨウ素液・蒸散の実験も切りかえて見られます。

🔬 中2 植物の体のつくりと働き/小6 植物の養分と水の通り道
光合成量(相対値)
—
呼吸量(相対値)
—
差し引き(見かけの光合成)
—
葉全体として
—

図は模式図で、数値はすべて相対値(くらべるための目安)です。①:緑の矢印=光合成、オレンジの矢印=呼吸(太いほど多い)。青い粒=酸素、灰色の粒=二酸化炭素。グラフを指でなぞると光の強さ(時刻)を変えられます。②:B・Dのアルミはくは色が見えるように透かして描いています。③④:「実験の時間」と光の強さで結果が変わります。

このシミュレーションでわかること

ポイント:植物は、光が当たっているときは光合成と呼吸を同時に行い、光が当たらないときは呼吸だけを行います。光が強いと光合成のほうが多くなるので、葉全体では酸素を出し、二酸化炭素を取り入れます。暗いと呼吸だけになり、酸素を取り入れて二酸化炭素を出します。その間のある明るさ(このシミュレーションでは光の強さ 約12)で、気体の出入りがつり合います。

中学校2年の理科「生物の体のつくりと働き」の植物の体のつくりと働き(第2分野(3)ア(イ)㋐ 葉・茎・根のつくりと働き)と、小学校6年の理科「植物の養分と水の通り道」(第6学年 B(2))で学ぶ内容です。中学校の学習指導要領解説(理科編 p.88)は、光合成と呼吸が「気体の出入りに関して逆の関係にある」ことに注目させることが大切だとしています。小学校の解説(理科編 p.87)は、観察・実験とともに「映像や模型,その他の資料を活用すること」を挙げています。

画面は4つです。①気体の出入りでは、光の強さ(または晴れた日の時刻)を変えると、葉が取り入れる・出す酸素と二酸化炭素の矢印の太さが変わり、光合成量・呼吸量・差し引きがグラフで分かります。②BTB溶液はオオカナダモを入れた試験管の色の変化(対照実験つき)、③ヨウ素液は葉にデンプンができたかを調べる実験(ふ入りの葉・アルミはく/小6の3枚の葉)、④蒸散はワセリンをぬった枝で水の減り方をくらべる実験です。数値はすべて相対値(くらべるための目安の値)です。

授業での使い方

生徒・児童への問いの例:

  1. 暗い所に置いた植物は、酸素と二酸化炭素のどちらを出しているでしょう。それはなぜでしょう。
  2. BTB溶液の実験で、オオカナダモを入れない試験管(C・D)を用意するのはなぜでしょう。
  3. 葉の表・裏にワセリンをぬった実験の結果から、葉の裏から出た水の量を求めましょう。(答え:B − D、または A − C)

しくみ・解説

光合成・呼吸・蒸散とは

光合成:二酸化炭素 + 水 →(光のエネルギー・葉緑体)→ デンプンなど + 酸素
呼吸:デンプンなど + 酸素 → 二酸化炭素 + 水(生きるためのエネルギーを取り出す)
差し引き(見かけの光合成)= 光合成量 − 呼吸量
光合成呼吸
行う所葉緑体(葉などの緑色の部分)すべての生きている細胞
行うとき光が当たっているときだけ昼も夜もいつも
取り入れる気体二酸化炭素酸素
出す気体酸素二酸化炭素
養分(デンプンなど)つくる使う(分解してエネルギーを取り出す)

光の強さと気体の出入り(早見表・相対値)

このシミュレーションでは、光合成量 = 4 ×(1 − e−光の強さ÷40)、呼吸量 = 1(光の強さで変わらない)としています。光合成量は、光が弱いうちは光を強くするほど大きく増え、強くなるにつれて増え方が小さくなります。

光の強さ光合成量呼吸量差し引き葉全体の気体の出入り
0(まっ暗)0.01.0−1.0酸素を取り入れ、二酸化炭素を出す(呼吸だけ)
50.51.0−0.5酸素を取り入れ、二酸化炭素を出す
約11.51.01.0±0.0見かけの出入りなし(つり合う)
201.61.0+0.6酸素を出し、二酸化炭素を取り入れる
402.51.0+1.5酸素を出し、二酸化炭素を取り入れる
603.11.0+2.1酸素を出し、二酸化炭素を取り入れる
100(強い)3.71.0+2.7酸素を出し、二酸化炭素を取り入れる
発展(高校で学ぶ言葉):光合成量と呼吸量が等しくなり、見かけの気体の出入りがなくなる光の強さを補償点(光補償点)といいます。このシミュレーションでは光の強さ 約11.5 です。光をそれ以上強くしても光合成量がほとんど増えなくなる光の強さを光飽和点といいます。中学校では「光が弱いと、光合成で出す酸素より呼吸で使う酸素のほうが多くなる」ところまで分かれば十分です。

晴れた日の1日の変化

「晴れた日(時刻)」にすると、6時に日がのぼり、12時に光がいちばん強く、18時にしずむとして光の強さを変えます。夜(18時〜6時)は呼吸だけなので、葉は二酸化炭素を出しています。朝、光が強くなっていくと 6時26分ごろに出入りがつり合い、そのあとは酸素を出すようになります。夕方は 17時34分ごろに再びつり合います。

晴れた日の1日(相対値)値
光合成量の合計34.6
呼吸量の合計(1 × 24時間)24.0
差し引き+10.6

1日全体では光合成量のほうが大きいので、植物は養分をたくわえて成長できます。くもりの日や日かげでは光合成量が小さくなります。

BTB溶液とオオカナダモの実験(対照実験)

BTB溶液は、酸性で黄色、中性で緑色、アルカリ性で青色になる液です。二酸化炭素は水にとけると酸性を示すので、二酸化炭素が増えると黄色に、減ると青色に近づきます。青色のBTB溶液に息をふきこんで緑色にしてから、4本の試験管に分けて実験します。

試験管オオカナダモ光結果わかること
A入れる当てる青色光合成で二酸化炭素が使われて減った
B入れる当てない(アルミはく)黄色呼吸だけなので二酸化炭素が増えた
C入れない当てる緑色のまま光だけでは色は変わらない
D入れない当てない(アルミはく)緑色のまま時間がたつだけでは色は変わらない

対照実験とは、調べたい条件だけを変え、それ以外の条件をすべて同じにして行い、結果をくらべる実験です。AとCをくらべると、ちがうのはオオカナダモがあるかないかだけなので、Aの色の変化はオオカナダモのはたらきによるものだと分かります。AとBをくらべると、ちがうのは光が当たるかどうかだけです。光を弱くすると、光合成と呼吸がつり合ってAの色があまり変わらなくなります。

ヨウ素液でデンプンを調べる実験

  1. 前の日から植物を暗い所に置き、葉のデンプンをなくしておきます。ふ入りの葉(アサガオなど)の一部をアルミはくでおおいます。
  2. 光を数時間当てます。
  3. 葉をとってアルミはくを外し、熱湯につけてやわらかくしてから、あたためたエタノールにつけて緑色をぬきます(脱色)。エタノールは火を使わずに湯であたためます。
  4. 水で洗ってヨウ素液につけると、デンプンがある所が青紫色になります。
葉の部分葉緑体光ヨウ素液
a 緑色の部分・光が当たったある当たった青紫色になる
b ふ(白い部分)・光が当たったない当たった変化なし
c 緑色の部分・アルミはくある当たらない変化なし
d ふ・アルミはくない当たらない変化なし

aとcをくらべると、デンプンをつくるには光が必要なことが、aとbをくらべると、デンプンは葉の緑色の部分(葉緑体)でつくられることが分かります。小学校6年では、前の日にアルミはくをかぶせた3枚の葉ア・イ・ウを使い、アは朝すぐ、イは日光に当ててから、ウはおおったまま調べて、イだけがでんぷんで青むらさき色になることを確かめます(湯でにてからエタノールで色をぬく方法のほか、ろ紙にはさんでたたく「たたき染め」の方法もあります)。

蒸散の実験(ワセリンで気孔をふさぐ)

葉の数と大きさをそろえた枝を水の入った試験管(メスシリンダー)にさし、水面に油をたらして水面からの蒸発を防ぎます。ワセリンをぬった所からは蒸散が起こらないので、水の減り方をくらべると、どこから水が出ていったかが分かります。下の表は、光の強さ100・6時間のときのこのシミュレーションの値です。

試験管条件水が出ていく所減った水の量
A何もぬらない表+裏+茎5.2mL
B葉の表にワセリン裏+茎4.0mL
C葉の裏にワセリン表+茎1.6mL
D葉をとって切り口にワセリン茎だけ0.4mL
葉の表から = C − D = 1.6 − 0.4 = 1.2mL
葉の裏から = B − D = 4.0 − 0.4 = 3.6mL(A − C でも同じ)
茎から = D = 0.4mL
A = 表 + 裏 + 茎 = 1.2 + 3.6 + 0.4 = 5.2mL

葉の裏からの蒸散がいちばん多いのは、多くの植物で気孔が葉の裏側に多いからです(植物の種類によってちがいます)。蒸散が起こると、根から水が吸い上げられます。小学校6年の解説は、蒸散の量を調べるときは気温が高い晴れの日を選ぶとしています。

このシミュレーションで単純にしていること

参考

引用・転載について

本ページのシミュレーション結果・数値は、出典を明記いただければブログ・ニュース記事・SNS・授業や社内資料への引用を歓迎します。事前連絡は不要です。

推奨クレジット表記:出典:シミュラボ「光合成と呼吸のシミュレーター(気体の出入り・BTB溶液・ヨウ素液・蒸散)」 https://shimulabo.com/sims/kougousei/

よくある質問

植物は光合成と呼吸を同時に行っているのですか?
はい。光が当たっているときは光合成と呼吸を同時に行っています。光が強いと光合成のほうが多いので、葉全体では酸素を出し二酸化炭素を取り入れているように見えます。光が当たらない夜は呼吸だけを行っています。
夜、植物は二酸化炭素を出しているのですか?
はい。夜は光合成ができないので呼吸だけになり、酸素を取り入れて二酸化炭素を出しています。ただし晴れた日の1日全体では、昼の光合成で取り入れる二酸化炭素のほうが多くなります。
BTB溶液の実験で、オオカナダモを入れると青色になるのはなぜですか?
光が当たるとオオカナダモが光合成を行い、水にとけている二酸化炭素を使うからです。二酸化炭素が減ると液が酸性からアルカリ性のほうに変わり、BTB溶液は緑色から青色になります。光を当てないと呼吸だけになり、二酸化炭素が増えて黄色になります。
対照実験とは何ですか?
調べたい条件だけを変え、それ以外の条件をすべて同じにして行い、結果をくらべる実験です。BTB溶液の実験では、オオカナダモを入れない試験管を用意して、色の変化がオオカナダモのはたらきによるものであることを確かめます。
ふ入りの葉で、ふの部分が青紫色にならないのはなぜですか?
ふ(白い部分)の細胞には葉緑体がないので、光が当たっても光合成ができず、デンプンがつくられないからです。光が当たった緑色の部分だけがヨウ素液で青紫色になります。
蒸散の実験で、葉の裏から出た水の量はどう求めますか?
葉の表にワセリンをぬった試験管(裏と茎から水が出る)の減った量から、葉をとった試験管(茎だけ)の減った量を引きます。例:4.0mL − 0.4mL = 3.6mL。何もぬらない試験管から、葉の裏にワセリンをぬった試験管の量を引いても求められます。

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