理科の授業向け

遺伝の規則性シミュレーター(メンデルの交配実験)

丸い種子(AA)としわのある種子(aa)のエンドウをかけ合わせると、子はすべて丸。その子どうしから生まれる孫では、しわが再び現れます。孫の数を変えて何度も交配し、丸:しわの比が3:1に近づいていく様子を確かめてください。

🔬 中3 遺伝の規則性と遺伝子
丸の数
—
しわの数
—
丸:しわ の比
—
AA:Aa:aa
—

左上:親→子→孫の流れ。右上:かけ合わせの表(マスをタップすると、その組み合わせの種子だけを表示)。左下:できた孫の種子(タップすると遺伝子が見られます)。右下:孫の数(横軸は10倍ずつ)と丸:しわの比。赤い線が今回、灰色の線がこれまでの結果です。

このシミュレーションでわかること

丸い種子をつくる純系のエンドウ(AA)と、しわのある種子をつくる純系のエンドウ(aa)をかけ合わせると、子(Aa)はすべて丸い種子になります。子どうしをかけ合わせて(自家受粉)できる孫では、丸としわがおよそ3:1の割合で現れます。この比は、調べる数が少ないと大きくばらつき、数を増やすほど3:1に近づきます。

対応する単元:中学3年 第2分野(5)生命の連続性「遺伝の規則性と遺伝子」。学習指導要領では、交配実験の結果などに基づいて遺伝の規則性を見いだすこととされ、分離の法則を扱います。解説では、コインやカードを使った交配のモデル実験を行い、試行回数と得られる結果との関係に気付かせる例が示されています。

授業での使い方

導入:しわの種子はどこへ消えた?

親→子→孫の流れ(キャンバスの左上)を見せ、「子ではしわの種子が1つもないのに、孫で再び現れるのはなぜか」を問いかけます。

展開:モデル実験とくらべる

班ごとにコインやカードで交配のモデル実験(例:20回)を行い、結果を記録します。次に、このシミュレーターで孫の数を20個にして「🔁 10回くり返す」を押し、班ごとに結果がばらつくのは当たり前であることを確かめます。そのあと数を100、1,000、10,000と増やし、比が3:1に近づいていく様子をグラフで見ます。

まとめ:かけ合わせの表で説明する

かけ合わせの表を使って、AA:Aa:aa=1:2:1、丸:しわ=3:1になる理由を説明させます。種子をタップすると遺伝子の組み合わせが見られるので、「見た目が丸でもAAとAaがある」ことも確かめられます。表のマスをタップすると、その組み合わせの種子だけが表示されます。

生徒への問いの例

  1. 子(Aa)はすべて丸なのに、孫にしわの種子が現れるのはなぜだろう?
  2. 孫を20個だけ調べたら、丸が18個、しわが2個だった。3:1にならなかったのは、実験の失敗だろうか?
  3. 孫の丸い種子のうち、遺伝子の組み合わせがAaのものは、およそ何%だろう?

しくみ・解説

用語

かけ合わせの表(子 Aa × 子 Aa → 孫)

卵細胞\精細胞Aa
AAA(丸)Aa(丸)
aAa(丸)aa(しわ)

卵細胞も精細胞も、Aをもつものとaをもつものが1:1の割合でつくられるので、4つのマスはどれも同じ確率(1/4)で起こります。そのため AA:Aa:aa=1:2:1。Aが1つでもあれば丸になるので、丸:しわ=(1+2):1=3:1です。丸い種子のうちAaは2/3(約67%)、AAは1/3です。

計算の例:孫の種子が800個できたとき、しわはおよそ800×1/4=200個、丸はおよそ600個です。丸600個のうち、AAはおよそ200個、Aaはおよそ400個です。

数が少ないと、なぜずれるのか

1つ1つの孫がどの組み合わせになるかは、コインを投げたときの表・裏のように偶然で決まります。そのため、調べる数が少ないと3:1から大きくずれることがあります。孫の数ごとに、しわの数がおよそ95%の確率で入る範囲を計算すると、次のようになります。

孫の数しわの数(理論上)しわの数(およそ95%の範囲)丸:しわ の範囲
20個5個2〜9個1.2:1 〜 9:1
100個25個17〜34個1.9:1 〜 4.9:1
1,000個250個223〜277個2.6:1 〜 3.5:1
10,000個2,500個2,415〜2,585個2.9:1 〜 3.1:1

メンデルの実験の結果

メンデルは1865年にエンドウの交配実験の結果を発表し、翌年に論文として出版しました。7つの対立形質について、孫の代で次のような結果を得ています。

形質顕性の形質潜性の形質孫の数(顕性:潜性)比
種子の形丸しわ5,474:1,8502.96:1
子葉の色黄色緑色6,022:2,0013.01:1
種皮の色有色白色705:2243.15:1
さやの形ふくれくびれ882:2992.95:1
さやの色緑色黄色428:1522.82:1
花のつき方葉のつけ根茎の先端651:2073.14:1
茎の高さ高い低い787:2772.84:1

どの形質もほぼ3:1です。種子の形では、7,324個を調べて丸5,474個・しわ1,850個(2.96:1)でした。このシミュレーターの「📗 メンデルと同じ7,324個」で、同じ数の交配を試せます。グラフの★がメンデルの結果です。

ポイント:卵細胞と精細胞がAとaのどちらをもつかは、それぞれ1/2の確率(乱数)で決めています。ほかの遺伝子の影響や、種子が育たない場合などは考えていません。種子の絵は模式的です。

参考

引用・転載について

本ページのシミュレーション結果・数値は、出典を明記いただければブログ・ニュース記事・SNS・授業や社内資料への引用を歓迎します。事前連絡は不要です。

推奨クレジット表記:出典:シミュラボ「遺伝の規則性シミュレーター(メンデルの交配実験)」 https://shimulabo.com/sims/mendel-iden/

よくある質問

「優性・劣性」と「顕性・潜性」は同じ意味?
同じ意味です。「優性」は優れている、「劣性」は劣っているという誤解を生みやすいため、日本遺伝学会が2017年に「顕性」「潜性」への言いかえを提案しました。今の中学校の教科書は「顕性」「潜性」を使っています。
実験の結果がぴったり3:1にならないのはなぜ?
どの遺伝子の組み合わせになるかは偶然で決まるため、数が少ないとずれます。孫が100個なら、丸:しわが2:1や4:1くらいになるのは珍しくありません。数を増やすほど3:1に近づきます。メンデルも7,324個の種子を調べて2.96:1という結果を得ています。
子(Aa)がすべて丸になるのはなぜ?しわの遺伝子はなくなったの?
Aとaの両方をもつと、顕性の形質(丸)だけが現れるからです。しわの遺伝子aはなくなったわけではなく、子の中に受けつがれています。そのため子どうしをかけ合わせると、aaの組み合わせになった孫でしわが再び現れます。
孫の丸い種子がAAかAaかを見分けるには?
見た目では区別できません。しわの種子(aa)をつくる個体とかけ合わせ、できる種子がすべて丸ならAA、丸としわがおよそ1:1ならAaと分かります。
分離の法則とは?
対になっている遺伝子が、減数分裂で生殖細胞がつくられるときに分かれて、別々の生殖細胞に入ることです。Aaの親からは、Aをもつ生殖細胞とaをもつ生殖細胞が1:1の割合でつくられます。
人の血液型も同じしくみ?
ABO式血液型も遺伝子の組み合わせで決まります。ただし、AとBの遺伝子はどちらも現れ(AB型)、Oの遺伝子は潜性です。エンドウの種子の形より少し複雑で、「血液型 遺伝 判定」で組み合わせを確かめられます。

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