このシミュレーションでわかること
マグマのねばりけが弱いと、傾斜がゆるやかな火山(たて状火山)ができ、噴火はおだやかで、溶岩や岩石は黒っぽくなります。ねばりけが強いと、ドーム状の火山(溶岩ドーム)ができ、噴火は激しく、岩石は白っぽくなります。また、マグマが地表付近で急に冷えると斑状組織の火山岩に、地下深くでゆっくり冷えると等粒状組織の深成岩になります。
対応する単元は、中学校学習指導要領 理科 第2分野(2)「大地の成り立ちと変化」の「火山と地震」のうち「火山活動と火成岩」で、中学1年で学習します。学習指導要領では、粘性(ねばりけ)と関係付けながら代表的な火山を扱うこと、火山岩と深成岩の代表的な岩石と、代表的な造岩鉱物を扱うことが示されています。小学校第6学年「土地のつくりと変化」の「土地は、火山の噴火によって変化すること」の発展としても使えます。
授業での使い方
- 導入:「例の火山」でマウナロア、桜島、昭和新山を順に選び、火山の形と噴火のようすを比べます。「形のちがいは何によって決まるのか」を問いかけ、マグマのねばりけに目を向けさせます。
- 展開:水の量を変えてねばりけを変えた小麦粉(ホットケーキミックスなど)を、穴をあけた板の下からおし出して火山の形をつくるモデル実験のあとに使い、ねばりけのスライダーで結果を確かめます。火成岩の観察(ルーペや双眼実体顕微鏡)のあとに「冷やして結晶をつくる」ボタンを押し、斑状組織と等粒状組織のでき方を比べます。ミョウバンなどの濃い水溶液をゆっくり冷やした場合と急に冷やした場合で、できる結晶の大きさを比べる実験とも結び付けられます。
- まとめ:右下の分類表と鉱物の割合のグラフで、火成岩の名前・色・組織と、ふくまれる鉱物の関係を整理します。
生徒への問いの例:
- 溶岩ドームをつくるマグマが、激しい噴火を起こしやすいのはなぜでしょうか(マグマにふくまれる気体のぬけやすさで考えましょう)。
- 火山岩には、大きな結晶(斑晶)と、細かい粒やガラス(石基)が混じっています。斑晶と石基は、それぞれどこで、どのように冷えてできたのでしょうか。
- 花こう岩が白っぽく、斑れい岩が黒っぽく見えるのはなぜでしょうか(ふくまれる鉱物の種類と割合で考えましょう)。
しくみ・解説
マグマのねばりけと火山の形・噴火・色
| マグマのねばりけ | 弱い | 中くらい | 強い |
|---|---|---|---|
| 火山の形 | 傾斜がゆるやかな形 (たて状火山) | 円すい形 (成層火山) | ドーム状 (溶岩ドーム) |
| 噴火のようす | おだやか (溶岩が流れ出す) | 中間 (爆発的な噴火と溶岩の流出をくり返す) | 激しい (爆発的。火砕流が起こることもある) |
| 溶岩・火山灰の色 | 黒っぽい | 灰色っぽい(中間) | 白っぽい |
| 火山の例 | マウナロア、キラウエア(ハワイ) | 桜島、浅間山、富士山 | 昭和新山、雲仙普賢岳(平成新山) |
ねばりけが強いマグマは流れにくいので、溶岩が火口の上にもり上がってドーム状になります。また、マグマにとけている気体(火山ガス。大部分は水蒸気)がぬけにくく、たまった気体が一気にふき出すため、爆発的な激しい噴火になりやすくなります。ねばりけが弱いマグマは気体がぬけやすく、溶岩が遠くまで流れて、傾斜のゆるやかな火山になります。マグマのねばりけは、マグマにふくまれる二酸化ケイ素の割合が多いほど、また温度が低いほど強くなります(発展)。
火山の噴火でふき出されるもの(火山噴出物)には、溶岩、火山弾、軽石、火山灰、火山ガスなどがあります。
火成岩のでき方と組織
マグマが冷えて固まった岩石を火成岩といいます。火成岩は、冷え方によって2つに分けられます。
| 種類 | でき方 | つくり(組織) | 岩石の例 |
|---|---|---|---|
| 火山岩 | 地表や地表付近で、急に冷えて固まった | 斑状組織:大きな結晶(斑晶)のまわりを、細かい粒やガラス(石基)がうめている | 玄武岩・安山岩・流紋岩 |
| 深成岩 | 地下深くで、長い時間をかけてゆっくり冷えて固まった | 等粒状組織:同じくらいの大きさの結晶が、すき間なく組み合わさっている | 斑れい岩・閃緑岩・花こう岩 |
マグマがゆっくり冷えると、結晶が大きく育つ時間があるので、大きな結晶ができます。急に冷えると、結晶が大きく育つ前に固まるので、細かい結晶や、結晶にならなかったガラスの部分ができます。火山岩の斑晶は、マグマが地下にあるうちにゆっくり冷えてできた結晶で、その後マグマが地表付近に上がって急に冷え、まわりが石基になったと考えられています。
火成岩の分類と鉱物
| 岩石の色 | 黒っぽい | 中間(灰色っぽい) | 白っぽい |
|---|---|---|---|
| 火山岩(斑状組織) | 玄武岩 | 安山岩 | 流紋岩 |
| 深成岩(等粒状組織) | 斑れい岩 | 閃緑岩 | 花こう岩 |
| 有色鉱物の割合(目安) | 約50% | 約30% | 約10% |
| 多くふくまれる鉱物 | チョウ石、キ石、カンラン石 | チョウ石、カクセン石、キ石 | チョウ石、セキエイ、クロウンモ |
火成岩をつくる鉱物(造岩鉱物)は、白色や無色の無色鉱物と、黒っぽい色や緑っぽい色の有色鉱物に分けられます。有色鉱物の割合が多い岩石ほど黒っぽく見えます。
| 鉱物 | 色 | 形の特徴 | 分類 |
|---|---|---|---|
| セキエイ(石英) | 無色・白色 | 不規則な形。決まった方向に割れない | 無色鉱物 |
| チョウ石(長石) | 白色・うすい桃色 | 柱状・短冊状。決まった方向に割れる | 無色鉱物 |
| クロウンモ(黒雲母) | 黒色〜褐色 | 板状・六角形。うすくはがれる | 有色鉱物 |
| カクセン石(角閃石) | 緑黒色〜黒色 | 長い柱状 | 有色鉱物 |
| キ石(輝石) | 緑黒色〜褐色 | 短い柱状 | 有色鉱物 |
| カンラン石 | 黄緑色 | 丸みのある粒状 | 有色鉱物 |
右下のグラフの割合(体積の割合)は、次の値をもとにしたおおよその目安です。玄武岩・斑れい岩:チョウ石50%、キ石36%、カンラン石12%、カクセン石2%。安山岩・閃緑岩:チョウ石60%、カクセン石20%、キ石8%、セキエイ8%、クロウンモ4%。流紋岩・花こう岩:チョウ石60%、セキエイ30%、クロウンモ8%、カクセン石2%。グラフでは、3つの区分のそれぞれ中央をこの値とし、その間を直線でつないでいます(両はしは一定)。
例題
例題1 ある火成岩をルーペで観察すると、同じくらいの大きさの鉱物がすき間なく組み合わさっていました。鉱物はセキエイとチョウ石が多く、黒くてうすくはがれる鉱物が少しふくまれていました。(1)このつくりを何といいますか。(2)岩石の名前は何ですか。
→ 結晶の大きさがそろっているので等粒状組織(深成岩)。白っぽい鉱物が多く、クロウンモをふくむので花こう岩。 答え(1)等粒状組織(2)花こう岩
例題2 黒っぽい溶岩が冷えて固まった岩石を観察すると、斑晶としてカンラン石やキ石が見られました。(1)岩石の名前は何ですか。(2)この溶岩を流した火山は、どのような形をしていると考えられますか。
→ 斑状組織(火山岩)で黒っぽいので玄武岩。黒っぽい溶岩をつくるマグマはねばりけが弱く、傾斜がゆるやかな火山になります。 答え(1)玄武岩(2)傾斜がゆるやかな形(たて状火山)
例題3 安山岩と閃緑岩は、ふくまれる鉱物の種類がよく似ているのに、つくりがちがいます。その理由を説明しなさい。
→ もとのマグマの性質は似ていますが、冷え方がちがうからです。安山岩は地表付近で急に冷えたので斑状組織に、閃緑岩は地下深くでゆっくり冷えたので等粒状組織になりました。
・火山の大きさや高さは、実際の比率ではありません(例:マウナロアの標高は約4,170m、昭和新山は約400m)。噴火のようすも、ねばりけによる傾向を表したイメージです。
・マグマのねばりけ、岩石の色、鉱物の割合は本来つながって変わるもので、3つに分けたのは目安です。鉱物の割合はおおよその例で、同じ名前の岩石でも試料によって大きくちがいます。
・富士山は形が成層火山の代表例ですが、溶岩の多くは玄武岩で、マグマのねばりけは比較的弱い火山です。また、昭和新山や平成新山の溶岩はデイサイトという岩石で、安山岩と流紋岩の中間にあたります(高校で学習)。
・結晶のでき方のアニメは、時間を大きく早送りしています。斑晶や結晶の鉱物は、鉱物の割合に合わせて選んでいます。
参考
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編」第2分野(2)大地の成り立ちと変化(中学校学習指導要領解説)
- 中学校理科の教科書(東京書籍「新しい科学」、啓林館「未来へひろがるサイエンス」、大日本図書「理科の世界」、学校図書「中学校科学」、教育出版「自然の探究 中学理科」)の第1学年「大地の成り立ちと変化」の単元
- 気象庁「日本活火山総覧(第4版)」
- 国土地理院「日本の主な山岳標高」、アメリカ地質調査所(USGS)ハワイ火山観測所の資料(火山の標高)
引用・転載について
本ページのシミュレーション結果・数値は、出典を明記いただければブログ・ニュース記事・SNS・授業や社内資料への引用を歓迎します。事前連絡は不要です。
出典:シミュラボ「火山の形と火成岩シミュレーター(マグマのねばりけ・冷え方)」 https://shimulabo.com/sims/kazan-kaseigan/よくある質問
- マグマのねばりけと火山の形には、どんな関係がありますか?
- ねばりけが弱いと溶岩が流れやすく、傾斜がゆるやかな火山(たて状火山。例:マウナロア)になります。中くらいだと円すい形の火山(成層火山。例:桜島)、強いと溶岩が盛り上がってドーム状の火山(溶岩ドーム。例:昭和新山)になります。
- 斑状組織と等粒状組織のちがいは何ですか?
- 斑状組織は、大きな結晶(斑晶)のまわりを細かい粒やガラス(石基)がうめているつくりで、地表付近で急に冷えた火山岩に見られます。等粒状組織は、同じくらいの大きさの結晶がすき間なく組み合わさったつくりで、地下深くでゆっくり冷えた深成岩に見られます。
- 火成岩の6種類は、どのように分類しますか?
- 組織で火山岩(斑状組織)と深成岩(等粒状組織)に分け、色(ふくまれる有色鉱物の割合)で黒っぽい・中間・白っぽいに分けます。火山岩は黒っぽい順に玄武岩・安山岩・流紋岩、深成岩は斑れい岩・閃緑岩・花こう岩です。
- 岩石が白っぽいか黒っぽいかは、何で決まりますか?
- ふくまれる鉱物の種類と割合で決まります。セキエイやチョウ石などの無色鉱物が多いと白っぽく、カンラン石・キ石・カクセン石・クロウンモなどの有色鉱物が多いと黒っぽくなります。有色鉱物の割合は、玄武岩・斑れい岩で約50%、流紋岩・花こう岩で約10%が目安です。
- 富士山はどのタイプの火山ですか?
- 形は円すい形の成層火山で、教科書でも成層火山の例としてよく取り上げられます。ただし、富士山の溶岩の多くは黒っぽい玄武岩で、マグマのねばりけは比較的弱い火山です。溶岩と火山灰などが交互に積み重なって、大きな円すい形になりました。
- ねばりけが強いマグマは、なぜ激しい噴火になるのですか?
- マグマにとけている気体(火山ガス)がぬけにくく、地下でたまった気体が一気にふき出すからです。ねばりけが弱いマグマは気体がぬけやすいので、溶岩がおだやかに流れ出す噴火になりやすくなります。