理科の授業向け

カムとベルト・プーリのシミュレーター(動力伝達の機構)

原動プーリと従動プーリの直径を変えると、回転数と速度伝達比が変わります。カムの形を変えると、従動節の上下の動き方が変わります(動きのグラフつき)。

🔬 中学 技術 動力伝達の機構(ベルトとプーリ・カム)
速度伝達比
—
原動プーリの回転数
—
従動プーリの回転数
—
回る向き
—

ベルトとプーリ:青=原動プーリ、オレンジ=従動プーリ。赤い●で回った数を数えられます。ベルトはすべらないものとしています。カム機構:グラフの横軸はカムの回転角、縦軸は従動節のいちばん下からの高さです。プーリとカムは指でドラッグして回せます。

このシミュレーションでわかること

ポイント:ベルトとプーリでは、速度伝達比 = 原動プーリの回転数 ÷ 従動プーリの回転数 = 従動プーリの直径 ÷ 原動プーリの直径 です。従動プーリを大きくするほど従動プーリはゆっくり回り、回す力(トルク)は大きくなります。カム機構では、カム(原動節)の形によって、従動節の上下の動き方が変わります。

中学校 技術・家庭(技術分野)の「C エネルギー変換の技術」で学ぶ動力伝達の機構です。学習指導要領の解説(技術・家庭編 p.42)は、動力伝達の機構として「ベルトとプーリなどの摩擦を利用して動力を伝える機構」「歯車などのかみ合いを利用して動力を伝える機構」「カム機構などの目的とする動きに変換して動力を伝える機構」を挙げています。また p.45 では、課題の解決策を具体化するときに、繰り返し試行錯誤できる実験装置や「ICTを活用したシミュレーション等を用いて試行・試作させることも考えられる」としています。歯車のかみ合いは歯車シミュレーターで試せます。

授業での使い方

生徒への問いの例:

  1. 原動プーリの直径が20mm、従動プーリの直径が60mmです。速度伝達比はいくつでしょう。原動プーリが1分間に1,200回転するとき、従動プーリは1分間に何回転するでしょう。(答え:速度伝達比 3、400回転)
  2. 原動プーリと従動プーリを逆向きに回したいとき、ベルトの掛け方をどうすればよいでしょう。
  3. 従動節を「しばらく止めておき、ときどきすばやく上下させたい」とき、どの形のカムを使えばよいでしょう。

しくみ・解説

動力を伝える3つのしくみ

伝え方例特徴
摩擦を利用するベルトとプーリ、摩擦車軸がはなれていても伝えられ、音が静か。大きな力がかかると、すべることがある
かみ合いを利用する歯車、チェーンとスプロケットすべらないので、回転を正確に伝えられる
目的の動きに変えるカム機構など回転運動を、往復運動などの別の動きに変える

速度伝達比の計算(ベルトとプーリ)

速度伝達比 = 原動プーリの回転数 ÷ 従動プーリの回転数 = 従動プーリの直径 ÷ 原動プーリの直径
従動プーリの回転数 = 原動プーリの回転数 ÷ 速度伝達比

ベルトがすべらないとすると、ベルトが動く速さは、どちらのプーリのふちでも同じです。プーリのふちが1分間に進む長さは「円周(直径 × 3.14)× 回転数」なので、原動プーリの直径 × 原動プーリの回転数 = 従動プーリの直径 × 従動プーリの回転数となり、上の式が成り立ちます。教科書では、回転数を「回転速度(単位 min-1=1分間あたりの回転数)」と書くこともあります。

原動プーリの直径従動プーリの直径速度伝達比従動プーリの回転数(原動 1,200回/分のとき)回り方
20mm20mm11,200回同じ速さ・同じ力
20mm40mm2600回ゆっくり・トルク約2倍
20mm60mm3400回ゆっくり・トルク約3倍
20mm80mm4300回ゆっくり・トルク約4倍
40mm20mm0.52,400回速く・トルク約0.5倍

速度伝達比が1より大きいと、従動プーリはゆっくり回り、回す力(トルク)は大きくなります。1より小さいと速く回り、トルクは小さくなります(摩擦などによる損失を考えないとき)。速さと力の両方を同時に大きくすることはできません。

ベルトの掛け方と回る向き

ベルトをそのまま掛ける平行掛けでは、原動プーリと従動プーリは同じ向きに回ります。ベルトを交差させて掛ける十字掛け(たすき掛け)では、逆向きに回ります。ベルトとプーリは摩擦で動力を伝えるので、大きな力がかかったり、ベルトがゆるんだりすると、すべって回転が正しく伝わらないことがあります。ベルトの張りやすり減りを点検すること(保守点検)が大切です。回転を正確に伝えたいところには、歯車やチェーン、歯の付いたベルトが使われます。

カム機構

カム機構は、回転するカム(原動節)の形にそって、従動節を往復運動させるしくみです。カムの回転の中心から、ふちまでの長さが場所によってちがうので、カムが回ると、ふちに当たっている従動節が上下します。カムが1回転すると、従動節は1回上下します。

カムの形従動節の動き動きのグラフメモ
円形(偏心カム)なめらかに上下する(ゆっくり → 速く → ゆっくり)なめらかな波の形上下の幅 = 中心のずれ(偏心量)× 2
卵形カム1回転のうち半分以上は止まっていて、とがった部分が来たときだけ上下する平らな部分と山自動車のエンジンの弁(バルブ)の開け閉めなど
ハート形カム一定の速さで上がり、一定の速さで下がる直線の山(三角の形)一定の速さで往復させたいところ

グラフの横軸はカムの回転角、縦軸は従動節の高さ(いちばん下からの高さ)です。グラフが平らなところは従動節が止まっているところ、かたむきが急なところは速く動いているところです。卵形カムでは、もとの円の部分(カムの回転の中心からの長さが同じ部分)に従動節が当たっているあいだは止まっていて、このシミュレーションの寸法では1回転の約6〜7割が止まっています。

このシミュレーションで単純にしていること

参考

引用・転載について

本ページのシミュレーション結果・数値は、出典を明記いただければブログ・ニュース記事・SNS・授業や社内資料への引用を歓迎します。事前連絡は不要です。

推奨クレジット表記:出典:シミュラボ「カムとベルト・プーリのシミュレーター(動力伝達の機構)」 https://shimulabo.com/sims/kamu-pulley/

よくある質問

速度伝達比はどうやって求めますか?
速度伝達比 = 原動プーリの回転数 ÷ 従動プーリの回転数 = 従動プーリの直径 ÷ 原動プーリの直径 で求めます。原動プーリ20mm・従動プーリ60mmなら、60÷20=3です。原動プーリが1分間に1,200回転すると、従動プーリは1,200÷3=400回転します。
従動プーリを原動プーリより速く回すには、どうすればよいですか?
従動プーリの直径を、原動プーリより小さくします(速度伝達比が1より小さくなります)。そのかわり、回す力(トルク)は小さくなります。
十字掛けにすると、なぜ回る向きが逆になるのですか?
ベルトを交差させると、原動プーリの上側を動くベルトが、従動プーリでは下側に回りこむためです。平行掛けでは同じ向き、十字掛け(たすき掛け)では逆向きに回ります。
カム機構の原動節と従動節とは何ですか?
カム機構で、回転して動きをつくり出すカムを原動節、カムに当たって動かされる部分を従動節といいます。カム機構は、カムの回転運動を、従動節の往復運動などに変えるしくみです。
円形の偏心カム・卵形カム・ハート形カムでは、動きはどうちがいますか?
偏心カムは、なめらかに上下します(上下の幅は中心のずれの2倍)。卵形カムは、1回転のうち半分以上は止まっていて、とがった部分が来たときだけ上下します。ハート形カムは、一定の速さで上がり、一定の速さで下がります。
ベルトとプーリは、歯車とくらべてどんなところがちがいますか?
ベルトとプーリは摩擦で動力を伝えるので、軸がはなれていても伝えられ、音が静かですが、大きな力がかかるとすべることがあります。歯車はかみ合いで伝えるので、すべらず回転を正確に伝えられます。

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