このシミュレーションでわかること
中学校第1学年の理科「光の反射・屈折」で学ぶ内容です。入射角を指やスライダーで変えると、反射角・屈折角が分度器の目盛りと数値で表示されます。「水の中のコインが浮いて見える」「ストローが曲がって見える」「光ファイバー」の場面も切りかえて見られます。「鏡ではね返す」では、小学校第3学年の「日光は鏡ではね返すことができる」ことも確かめられます。
授業での使い方
導入:身近な現象から問いをつくる
「水の中のコインが浮いて見える」で、水を入れる前と後をくらべます。水がないとカップのふちにかくれて見えなかったコインが、水を入れると見えるようになります。「光はどこで、どのように曲がったのだろう」を問いにして、光の進み方に注目させます。小3では「鏡ではね返す」に切りかえ、はね返した光を的に当てるには鏡をどう向ければよいかを考えさせます。
展開:入射角を変えて表にまとめる
光源装置と半円形ガラス(台形ガラス)の実験の前後に使います。入射角を10°ずつ変えて屈折角を表に記録させると、「空気→ガラスでは屈折角が入射角より小さい」「入射角が大きくなると屈折角も大きくなる」ことが見つかります。次に「ガラス→空気」に切りかえて、光の道すじが逆向きにたどれることと、「入射角を0°から動かす」で全反射が起こるようすを確かめます。
まとめ:作図と身近な道具
コインやストローの場面で、目に届く光を逆向きにのばした線(点線)と、見えている物の位置の関係を作図で確かめます。光ファイバーの場面では、曲げても光が出口まで届くこと、曲げすぎると光がもれることを見せ、全反射が通信に使われていることにつなげます。
生徒への問いの例
- 光が空気からガラスへ進むとき、入射角と屈折角はどちらが大きいでしょう。ガラスから空気へ進むときはどうでしょう。
- 水の中から空気へ進む光の入射角を大きくしていくと、屈折した光はどうなるでしょう。
- 水を入れたカップの底のコインが、実際より浅いところにあるように見えるのはなぜでしょう。光の道すじをかいて説明しましょう。
しくみ・解説
反射・屈折・全反射とは
- 反射とは、光が物質の境界面ではね返る現象のことです。
- 入射角とは、境界面に垂直な線(法線)と入射する光との間の角のことです。法線と反射した光との間の角を反射角、法線と屈折した光との間の角を屈折角といいます。
- 屈折とは、光が種類のちがう物質の境界面へななめに進むとき、境界面で進む向きが変わる現象のことです。
- 全反射とは、水やガラスから空気へ光が進むとき、入射角が臨界角より大きいと屈折する光がなくなり、光がすべて反射する現象のことです。
| 光の進み方 | きまり |
|---|---|
| 反射(鏡・水面・ガラスの表面) | 入射角=反射角 |
| 空気 → 水・ガラス | 入射角>屈折角(法線に近づくように曲がる) |
| 水・ガラス → 空気 | 入射角<屈折角(法線から遠ざかるように曲がる) |
| 入射角が0°(境界面に垂直) | 曲がらずにまっすぐ進む |
| 水・ガラス → 空気で、入射角が臨界角より大きい | 全反射(光はすべて反射する) |
入射角と屈折角の早見表(空気から水・ガラスへ)
| 入射角 | 空気→水の屈折角 | 空気→ガラスの屈折角 |
|---|---|---|
| 0° | 0.0° | 0.0° |
| 10° | 7.5° | 6.6° |
| 20° | 14.9° | 13.2° |
| 30° | 22.1° | 19.5° |
| 40° | 28.9° | 25.4° |
| 45° | 32.1° | 28.1° |
| 50° | 35.2° | 30.7° |
| 60° | 40.6° | 35.3° |
| 70° | 45.0° | 38.8° |
| 80° | 47.8° | 41.0° |
入射角と屈折角の早見表(水・ガラスから空気へ)
| 入射角 | 水→空気の屈折角 | ガラス→空気の屈折角 |
|---|---|---|
| 0° | 0.0° | 0.0° |
| 10° | 13.4° | 15.1° |
| 20° | 27.1° | 30.9° |
| 30° | 41.7° | 48.6° |
| 40° | 58.7° | 74.6° |
| 45° | 70.1° | 全反射 |
| 50° | 全反射 | 全反射 |
| 60° | 全反射 | 全反射 |
臨界角は、水では約48.8°、ガラスでは約41.8°です。入射角がこれより大きいと全反射になります。中学校では、入射角と屈折角のどちらが大きいか(定性的な関係)を理解できれば十分です。
高校の発展:屈折の法則(スネルの法則)
物質の光の曲げやすさは屈折率(真空を1としたときの値。空気はほぼ1.00、水は1.33、ガラスは約1.5)で表されます。屈折率 n1 の物質から n2 の物質へ光が進むとき、入射角 i と屈折角 r の間には次の関係があります。
例:空気→水、入射角30° → sin r = 1.00×0.5÷1.33 = 0.376 → r ≒ 22.1°
臨界角 θc(屈折率 n の物質→空気):sin θc = 1÷n → 水:1÷1.33=0.752 → 約48.8°/ガラス:1÷1.5=0.667 → 約41.8°
水の中のコインが浮いて見える・ストローが曲がって見えるわけ
コインで反射した光は、水面で法線から遠ざかるように折れ曲がってから目に届きます。私たちの目は、光がまっすぐ進んできたと感じるので、目に届いた光を逆向きにのばした線の先(点線)にコインがあるように見えます。そのため、コインは実際より浅いところに浮き上がって見えます。ストローも、水の中の部分が浮き上がって見えるので、水面のところで折れ曲がっているように見えます。
例:深さ10 cmのコイン → 約7.5 cmの深さにあるように見える(ななめから見るほど、さらに浅く見える)
作図の手順:①コインから水面までの光をかく → ②水面で法線から遠ざかるように折れ曲がって目に届く光をかく → ③目に届いた光を水の中へ逆向きにのばし(点線)、コインの真上を通る線と交わる点が見かけの位置です。このシミュレーションも、この作図のしかたで見かけの位置を描いています。
光ファイバー
光ファイバーは、光を通しやすいガラスなどでできた細い線です。中に入った光は、側面に臨界角より大きい入射角で当たるため、全反射をくり返して、曲がった線の中でも遠くまで届きます。インターネットなどの通信や、体の中を見る内視鏡(胃カメラ)に使われています。曲げすぎると側面への入射角が臨界角より小さくなり、光が外へもれます。
このシミュレーションで単純化していること
- 屈折率は、水1.33、ガラス1.50、空気1.00としています。実際のガラスは種類によって約1.4〜1.9とちがい、同じ物質でも光の色(波長)によって少しずつちがいます(このため、プリズムで白色光がいろいろな色に分かれます)。
- 屈折が起こるときも、境界面では光の一部が反射しています。反射した光の明るさは、高校・大学で学ぶフレネルの式で計算した割合(目安)で表しています。入射角が小さいときは、空気と水の境界で約2%、空気とガラスの境界で約4%だけが反射します。
- コイン・ストローの見かけの位置は、上の作図の手順(目に届く光を逆向きにのばした線と、物体の真上を通る線との交点)で描いています。カップは光を通さないものとし、ストローの場面ではコップのかべによる屈折は考えていません。
- 光ファイバーは、空気中に置いたガラスの棒(屈折率1.50)として計算しています。実際の光ファイバーは、中心のコアを、屈折率が少し小さいクラッドでつつんだつくりになっています。
- 強い光を直接目で見たり、鏡ではね返した日光を人の顔に当てたりしないよう、実験では注意しましょう。
参考
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編」第1分野(1)身近な物理現象(ア)光と音 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387016.htm
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編」第3学年 A(3)光と音の性質 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387014.htm
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編」物理(2)波 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1407074.htm
- 中学校理科の教科書(東京書籍「新しい科学」1年、啓林館「未来へひろがるサイエンス」1年 など)の「光の反射・屈折」の単元
- 国立天文台 編「理科年表」(水の屈折率 約1.33)
引用・転載について
本ページのシミュレーション結果・数値は、出典を明記いただければブログ・ニュース記事・SNS・授業や社内資料への引用を歓迎します。事前連絡は不要です。
出典:シミュラボ「光の反射と屈折シミュレーター(入射角・屈折角・全反射)」 https://shimulabo.com/sims/hikari-kussetsu/よくある質問
- 入射角と屈折角は、どちらが大きくなりますか?
- 光が空気から水やガラスへ進むときは、入射角のほうが大きく(入射角>屈折角)なります。反対に、水やガラスから空気へ進むときは、屈折角のほうが大きく(入射角<屈折角)なります。入射角が0°(境界面に垂直)のときは、光は曲がらずにまっすぐ進みます。
- 全反射は、どんなときに起こりますか?
- 光が水やガラスから空気へ進むときに、入射角が臨界角より大きいと起こります。臨界角は水で約48.8°、ガラスで約41.8°です。空気から水やガラスへ進むときには、全反射は起こりません。
- 反射角は、いつも入射角と同じですか?
- はい。鏡でも水面でもガラスの表面でも、光が反射するときは入射角と反射角が等しくなります。これを反射の法則といいます。角度は、境界面ではなく、境界面に垂直な線(法線)からはかります。
- 水の中のコインが浮き上がって見えるのはなぜですか?
- コインからの光が、水面で法線から遠ざかるように屈折して目に届くからです。目は光がまっすぐ来たと感じるので、光を逆向きにのばした線の先にコインがあるように見え、実際より浅く見えます。真上近くから見ると、深さはおよそ0.75倍(1÷1.33)に見えます。
- 光ファイバーは、なぜ曲がっていても光を届けられるのですか?
- ファイバーの中を進む光が、側面に臨界角より大きい入射角で当たり、全反射をくり返して進むからです。光がほとんど外にもれないので、遠くまで届きます。ただし、曲げすぎると入射角が臨界角より小さくなり、光がもれてしまいます。
- 屈折率とは何ですか?中学で覚える必要はありますか?
- 屈折率は、物質が光をどれだけ曲げるかを表す数で、空気はほぼ1.00、水は1.33、ガラスは約1.5です。屈折率と屈折の法則(n₁ sin i = n₂ sin r)は高校の物理で学ぶ内容で、中学校では入射角と屈折角の大小の関係を理解すれば十分です。