理科の授業向け

物のあたたまり方シミュレーター(金属・水・空気)

金ぞくの板やぼうは、指でタップした所を熱すると、熱した所から順に色が広がっていきます。試験管やビーカーの水、部屋の空気では、あたためられた部分が上へ動き、上の方からあたたまる様子を示温インクの色と温度のグラフで確かめられます。「温度と体積」に切りかえると、空気・水・金ぞくの体積の変わり方も比べられます。

🔬 小4 金属,水,空気と温度
熱しはじめて
—
ア・イ・ウの温度
—
あたたまった順
—
ろうがとけた所
—

金ぞく:指でタップした所を熱します(ア・イ・ウは温度をはかる所)。色は温度(青=20℃ → 赤=100℃以上)、「ろうをぬった板・ぼう」では白いろうが約55℃でとけていきます。水:示温インク(約40℃で青→ピンク)とおがくず。空気:部屋のたての断面で、色は温度、灰色のすじは線香のけむり。右:ア・イ・ウ(上・真ん中・下)の温度の変わり方。数値は目安です。

このシミュレーションでわかること

金ぞくは、熱した所から近いじゅんに、まわりへ広がるようにあたたまります。ぼうをかたむけても、上にも下にも同じようにあたたまります。水と空気は、あたためられた部分が上へ動き、上の方からじゅんに全体があたたまります。そのため、試験管の水の上の方だけを熱すると、下の方の水はなかなかあたたまりません。部屋をストーブであたためると、天井近くはあたたかく、足もとはつめたいままになりやすいのも同じしくみです。切りかえで、温度による体積の変わり方(空気 > 水 > 金ぞく)も確かめられます。

対応する単元:小学4年 A(2)金属,水,空気と温度「(イ)金属は熱せられた部分から順に温まるが,水や空気は熱せられた部分が移動して全体が温まること」(主にこの内容)、「(ア)金属,水及び空気は,温めたり冷やしたりすると,それらの体積が変わるが,その程度には違いがあること」。学習指導要領解説では、水や空気は熱を加えられた部分が上方に移動して全体が温まること、物によって温まり方に違いがあること、空気の温度による体積の変化が最も大きいことを捉えるようにし、日常生活との関連として冷暖房時の空気循環の効果などを取り上げることが示されています。水が水蒸気や氷に変わる(ウ)は状態変化と粒子のシミュレーターで扱えます。

授業での使い方

導入:金ぞくはどのようにあたたまる?

「金ぞくの板のかどを熱すると、どのようにあたたまっていくだろう」と問いかけ、あたたまっていく様子を予想して図にかかせます。「金ぞくの板」で熱する場所を指でタップし、ア・イ・ウのどこから先にあたたまるかを確かめます。「見え方」を「ろうをぬった板・ぼう」にすると、ろうがとけていく様子(教科書の実験と同じ見え方)になります。「切れこみあり」の板では、熱が金ぞくのある所を回って伝わることがわかります。

展開:水と空気のあたたまり方

「試験管の水」で、熱する場所を「下」「真ん中」「上」と変えて比べます(試験管の図をタップしても変えられます)。示温インクの色が、下を熱すると上の方から順にピンクに変わり、上を熱すると上の方だけが変わる(下は青のまま)ことから、あたためられた水は上へ動くことに気づかせます。「ビーカーの水」ではおがくずの動きで水の動きを見ます。「部屋の空気」では、線香のけむりの動きと、天井近く・床近くの温度のちがいを確かめ、せんぷうきで空気を回すとどうなるかを考えさせます。

まとめ・発展:温度と体積

「温度と体積」に切りかえ、湯(80℃)や氷水(0℃)につけたときの空気・水・金ぞくの体積の変わり方を比べます。体積の変わり方は空気がいちばん大きく、金ぞくはとても小さいことを、数値と図でまとめます。

児童への問いの例

  1. 金ぞくのぼうをかたむけて真ん中を熱すると、上のはしと下のはしでは、どちらが先にあたたまるだろう?
  2. 試験管の水を早く全体あたためるには、試験管のどこを熱するとよいだろう?それはなぜだろう?
  3. だんぼうをつけた部屋で、天井の近くと足もとでは、どちらがあたたかいだろう?せんぷうきやサーキュレーターを使うのはなぜだろう?

しくみ・解説

物のあたたまり方のしくみの図。金ぞくの板はかどを熱すると近いじゅんにろうがとけ(ア→イ→ウ)、かたむけたぼうは上にも下にも同じようにあたたまる。水はビーカーの底のはしを熱すると、あたためられた水が上へ動いて上の方からあたたまり(しおんインクの色)、空気はストーブであたためられた空気が上へ動いて天井近くがあたたかく、足もとはつめたいことを示す。
図1 物のあたたまり方のしくみ。金ぞくは熱した所から近いじゅんに、水と空気はあたためられた部分が上へ動いて全体があたたまる。PNGで保存・SVG
試験管の水の下・真ん中・上を熱したときのあたたまり方を、しおんインクの色と40℃になるまでの時間でくらべた図と、0℃〜100℃での空気・水・金ぞく(鉄)の体積(20℃を100とする)の早見表。体積の変わり方は空気>水>金ぞく。火や熱湯をあつかうときの注意つき。
図2 試験管の水は熱する場所であたたまり方が変わる。温度による体積の変わり方は空気がいちばん大きい。PNGで保存・SVG

図はタップすると大きく表示されます。授業のプリント・スライド・板書計画に自由に使えます(出典「シミュラボ」とページのURLを添えてください)。

言葉の意味(1文で)

あたたまり方の早見表

物あたたまり方こんなことが起きる調べ方
金ぞく(板・ぼう)熱した所から近いじゅんに上・下・ななめに関係なく、まわりへ広がるろうがとける・示温テープの色が変わる
水あたためられた水が上へ動き、上からじゅんに全体へ上の方だけ熱すると、下はなかなかあたたまらない示温インクの色・おがくずの動き
空気あたためられた空気が上へ動き、上からじゅんに全体へ部屋の天井近くはあたたかく、足もとはつめたい線香のけむりの動き・温度計

試験管の水:熱する場所によるちがい(このシミュレーターの目安)

熱する場所上が40℃に真ん中が40℃に下が40℃に結果
下約31秒約35秒約39秒全体があたたまる(上からじゅんに)
真ん中約18秒約22秒なかなかあたたまらない熱した所より上だけ(下は数分たっても40℃に届かない)
上(水面の近く)約6秒なかなかあたたまらないなかなかあたたまらない上の方だけ。約30秒で上はふっとうしても、下はつめたいまま

水20 mL(はじめ20℃)を、アルコールランプでおよそ一定の強さで熱したときの目安です。実際の時間は、火の強さや試験管の太さ、熱する位置で変わります。

温度と体積の早見表(20℃の体積を100とする)

温度空気水金ぞく(鉄)
0℃(氷水)93.299.899.93
20℃100100100
40℃106.8100.6100.07
60℃113.6101.5100.14
80℃(湯)120.5102.7100.22
100℃127.3104.2100.29

空気は、おさえつけていなければ、温度(℃)に273を足した値(絶対温度)に比例して体積が変わります(シャルルの法則・先生向け)。水は約4℃で体積がいちばん小さくなり、それより高くなると少しずつ大きくなります。鉄の体積は1℃につき約0.0036%大きくなります。同じ大きさの試験管と同じ太さのガラス管で比べると、空気のしるしは数cm、水の先は数mm動くくらいのちがいになります。

先生向けの補足:伝導と対流

金ぞくのあたたまり方は「熱伝導」、水や空気のあたたまり方は「対流」とよばれます(どちらの用語も小学校では扱わず、中学校以降で学びます)。金ぞくのモデルでは、板を2.5 mmのマスに分け、熱拡散率(銅 1.11×10⁻⁴、アルミニウム 9.7×10⁻⁵、鉄 2.3×10⁻⁵ m²/s)を使って熱の広がりを計算しています。鉄は銅の約5分の1の速さでしか熱が広がらないので、同じ場所でもあたたまるのに時間がかかります。水と空気は、熱した所であたためられた水(空気)が上へ動いて上にたまり、そのぶん全体が少しずつ下へおし下げられる「層のモデル」(フィリングボックスモデル)で計算しています。

安全のために:アルコールランプやガスこんろを使うときは、保護眼鏡をかけ、まわりに燃えやすい物を置かないようにします。熱した金ぞくや試験管、湯はしばらく熱いので、直接さわらないようにします。試験管の水を熱するときは、試験管の口を人に向けず、急にふっとうしないように少しずつ熱します(ふっとう石を入れます)。

このシミュレーションで単純化していること

参考

引用・転載について

本ページのシミュレーション結果・数値は、出典を明記いただければブログ・ニュース記事・SNS・授業や社内資料への引用を歓迎します。事前連絡は不要です。

推奨クレジット表記:出典:シミュラボ「物のあたたまり方シミュレーター(金属・水・空気)」 https://shimulabo.com/sims/atatamarikata/

よくある質問

金属はどのようにあたたまりますか?
熱した所から近いじゅんに、まわりへ広がるようにあたたまります。金属のぼうをかたむけて真ん中を熱しても、上にも下にも同じようにあたたまります。
水はどのようにあたたまりますか?
熱せられてあたたかくなった水が上へ動き、上の方にたまって、上からじゅんに全体があたたまります。示温インクを入れると、上の方から色が変わっていく様子が見られます。
試験管の水の上の方を熱すると、下の水はどうなりますか?
あたたかい水は上にとどまるので、下の方の水はなかなかあたたまりません。上の方の水がふっとうしていても、下の方はつめたいままのことがあります。水全体を早くあたためるには、下の方を熱します。
空気はどのようにあたたまりますか?
水と同じように、あたためられた空気が上へ動き、上の方からあたたまります。だんぼうをつけた部屋では天井近くがあたたかく、足もとはつめたくなりやすいので、せんぷうきやサーキュレーターで空気を回すと、部屋全体があたたまりやすくなります。
温度による体積の変わり方は、空気・水・金属でどうちがいますか?
どれも、あたためると体積が大きくなり、冷やすと小さくなりますが、変わり方は空気がいちばん大きく、次に水、金属はとても小さいです。20℃から80℃にすると、空気は約20%、水は約3%、鉄は約0.2%体積が大きくなります。
示温インクとは何ですか?
温度によって色が変わるインクです。水に入れて熱すると、あたたまった所の色が変わるので、水のあたたまり方を目で見ることができます。教科書の実験では、約40℃で青色からピンク色に変わるものなどが使われます。

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