ふしぎ・現象

模様が生まれるシミュレーター

たった2種類の物質が反応して広がるだけ。それなのに、ヒョウ柄やシマ模様、迷路のような模様がひとりでに生まれます。生き物の模様の起源とも言われる現象です。

2つの物質の濃さを色で表示。種類を変えると、生まれる模様が変わります。

チューリングパターン

計算機科学の父アラン・チューリングが提唱した理論です。「広がる速さの違う2つの物質が反応し合う」だけで、自然に規則的な模様が生まれることを示しました。シマウマ・ヒョウ・熱帯魚・貝殻など、生き物の模様の説明に使われています。

反応拡散の式(グレイ・スコット模型)

2つの物質 u と v が「反応して増減しながら、広がる」様子を式にします。u は速く広がり、v は遅く広がる——この拡散速度の差が模様の源です。

∂u/∂t = Dᵤ∇²u − uv² + F(1 − u)
∂v/∂t = Dᵥ∇²v + uv² − (F + k)v
模様パラメータの目安
斑点(ヒョウ柄)F≈0.035、k≈0.065
縞(シマウマ)F≈0.030、k≈0.057
迷路F≈0.029、k≈0.057
分裂して増える細胞のような模様F≈0.026、k≈0.051

F(補給率)と k(除去率)をわずかに変えるだけで、まったく違う模様に切り替わります。生き物の模様の多様性が「ほんの少しのパラメータ差」で説明できるかもしれない、というのがこの理論の魅力です。

チューリングの予言は本当だった

アラン・チューリングが1952年に発表した理論は、当時は数学上の仮説でした。1995年、近藤滋(現・大阪大学)らが熱帯魚タテジマキンチャクダイの縞模様が成長とともに「分岐して増える」様子を観察し、反応拡散の予測どおりに変化することを示しました。その後ゼブラフィッシュの遺伝子研究でも裏付けられ、今では生物学の標準的な考え方になっています。

よくある質問

ランダムに描いてるの?
いいえ。物質の反応と拡散の数式から、模様が自然に立ち上がります。
データは送信されますか?
いいえ。すべてブラウザ内で動作します。
ランダムに描いているの?
いいえ。上の式を格子上で毎フレーム計算しています。最初の小さなノイズが、式に従って自然に模様へ成長します。
人間にも当てはまる?
指紋の渦や、歯の並び、毛包の間隔などに反応拡散の考え方が使われています。砂漠の植生パターンや砂丘の縞模様も同じ仕組みで説明されます。

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