結論:2つの天体の運動は数式できれいに解けますが(二体問題)、3つになった瞬間、一般には解の公式が存在しないことが証明されています。わずかな初期条件の差が時間とともに爆発的に拡大する「カオス」のため、長期の未来は原理的に計算しきれません。
三体問題とは
三体問題とは、互いに重力をおよぼし合う3つの天体が、この先どう動くかを求める問題です。太陽・地球・月のような身近な組み合わせでもあります。ニュートン以来、多くの数学者が挑みましたが、19世紀末にポアンカレが「一般には解析的な解(きれいな数式の答え)は存在しない」ことを示しました。
なぜ未来が計算できないのか(カオス)
三体問題は「決まった物理法則」で動くので、本来ランダムではありません。それでも、初期位置をほんの少し変えただけで、数ステップ後にはまったく違う軌道になります。この初期値鋭敏性(バタフライ効果)がカオスの正体です。コンピュータで数値計算はできますが、ごく小さな誤差が拡大するため、遠い未来ほど予測の信頼性は落ちます。
身のまわりの三体問題
SF小説『三体』で広く知られるようになりましたが、現実の天文学でも重要です。人工衛星の軌道設計、連星まわりの惑星の安定性、ラグランジュ点(重力が釣り合う点)の計算など、応用は多岐にわたります。
よくある質問
- 三体問題は解けたのですか?
- 一般解(どんな初期条件にも効く数式の答え)は存在しないと証明済みです。特殊な初期条件での周期解(8の字解など)や、数値計算による近似は可能です。
- ランダムに動かしているの?
- いいえ。万有引力の法則どおりに計算しています。それでも予測が難しいのがカオスの面白さです。
- 星が画面外へ飛んでいくのは?
- 三体ではしばしば1つが弾き飛ばされます。実際の三体系でも起こる現象で、その時は新しい配置で再スタートします。
参考
- Poincaré, H. 「天体力学の新しい方法」(三体問題とカオスの先駆的研究)
- Newton, I. 『プリンキピア』万有引力の法則
- 国立天文台「ラグランジュ点」解説