このシミュレーションでわかること
星も太陽と同じように、東からのぼり、南の空を通って西へしずみます。空の星全体が、北極星の近くを中心にして、1時間に約15°(360°÷24時間)ずつ東から西へ回って見えます。これは地球が西から東へ自転しているために起こる見かけの動き(日周運動)です。北の空では、星は北極星を中心に反時計回りに回ります。
また、同じ時刻に見える星の位置は、1か月に約30°ずつ東から西へずれていき、1年でもとにもどります(年周運動)。これは地球が太陽のまわりを1年で1周(公転)しているからです。そのため季節によって見える星座が変わり、真夜中に南の空に見えるのは、地球から見て太陽と反対側にある星座です。
| 学年 | 単元 | 学習指導要領(平成29年告示)の内容 |
|---|---|---|
| 小学校4年 | B(5) 月と星 | 空には、明るさや色の違う星があること。星の集まりは、1日のうちでも時刻によって、並び方は変わらないが、位置が変わること |
| 中学校3年 | 第2分野(6)地球と宇宙「日周運動と自転」 | 天体の日周運動の観察を行い、その観察記録を地球の自転と関連付けて理解すること |
| 中学校3年 | 第2分野(6)地球と宇宙「年周運動と公転」 | 星座の年周運動などの観察を行い、その観察記録を地球の公転と関連付けて理解すること |
中学校の解説(理科編 p.105〜106)は、天球の各方位の星座の見かけの動きを観察すること、太陽を中心に公転する地球とその外側に季節の代表的な星座を配したモデルを使うことをあげ、どちらでも観察者の視点を地球の外に移して考えさせるために、コンピュータシミュレーションを用いて視覚的に捉えさせる工夫を例にあげています。小学校4年の解説は、学校で観察できない時間帯の月や星の位置の変化について、映像や模型、プラネタリウムなどの活用をあげています。学年は一般的な配当です。
授業での使い方
導入(小4):「南の空」で時刻のスライダーを動かし、星座の形(星の並び方)は変わらないまま、位置が東から西へ変わることを確かめます。ベテルギウスやアンタレス(赤い星)、リゲルやシリウス(青白い星)など、星の色の違いにも注目させます。
展開(中3・日周運動):東・南・西・北の空を切り替えて「▶ 時間を進める」を押し、星の動き方が方位によって違うこと(東の空は右ななめ上へ、南の空は東から西へ、西の空は右ななめ下へ、北の空は北極星を中心に反時計回り)を記録させます。注目する星の「1時間で15°」の表示で、動く速さを確かめます。
展開(中3・年周運動):時刻を同じにしたまま「+1か月(同じ時刻)」を押し、星の位置が約30°西へずれることを確かめます。右の公転の図で、地球の位置と、真夜中に南の空に見える星座の関係を説明させます。
まとめ:下の季節の星座の表と計算問題で、星が南中する時刻が1か月で約2時間早くなることを確かめます。
児童・生徒への問いの例です。
- (小4)夜8時にオリオン座を見ました。夜10時には、オリオン座の形と位置はどうなっているでしょう。(形は同じで、西の方へ動いている)
- (中3)北の空のカシオペヤ座は、3時間後に、北極星を中心にどちら回りに何度回って見えるでしょう。(反時計回りに約45°)
- (中3)夏の夜にオリオン座が見えないのはなぜでしょう。右の公転の図を使って説明しましょう。(夏の地球から見ると、オリオン座は太陽と同じ方向にあり、昼の空にあるから)
しくみ・解説
日周運動:1時間に15°
地球は1日(約24時間)で1回自転するので、星は1時間に 360° ÷ 24 = 15° 動いて見えます。星が回る中心は、地軸を北へのばした方向(天の北極)で、そのすぐ近くに北極星があります。そのため北極星はほとんど動かず、その高度は観測地点の緯度とほぼ同じです(東京で約35.7°)。
| 見る方角 | 星の動き方(東京) |
|---|---|
| 東の空 | 地平線から右ななめ上へのぼる |
| 南の空 | 東(左)から西(右)へ、弧をえがいて動く。真南にきたとき(南中)がいちばん高い |
| 西の空 | 右ななめ下へしずむ |
| 北の空 | 北極星を中心に、反時計回りに回る(1時間に15°) |
年周運動:1か月に30°
地球は1年(12か月)で太陽のまわりを1周するので、同じ時刻に見える星の位置は、1か月に 360° ÷ 12 = 30° ずつ東から西へずれます。1日では約1°で、時間にすると約4分です。つまり、星が南中する時刻は1日に約4分、1か月で約2時間ずつ早くなります。
例題1:ある日の午後8時に、オリオン座が南中しました。同じ日の午後10時には、オリオン座は南中した位置からどちらへ何度動いていますか。
答え:15° × 2時間 = 西へ30°
例題2:1月15日の午後10時に、オリオン座が南中しました。午後8時に南中するのは、いつごろですか。
答え:南中する時刻は1か月に約2時間早くなるので、約1か月後の2月15日ごろ
例題3:ある日の午後9時に、北の空でカシオペヤ座が北極星の真上に見えました。同じ日の何時に、北極星の左側(西側)に見えますか。
答え:反時計回りに90°回るのにかかる時間は 90° ÷ 15° = 6時間なので、翌日の午前3時
例題4:7月10日ごろの午後9時に、さそり座のアンタレスが南中しました。2か月後の午後9時には、アンタレスは南中した位置からどちらへ何度動いた位置にありますか。
答え:30° × 2か月 = 西へ60°(南西の地平線近く。このシミュレーターでは、9月10日21時に高度約5°)
季節の星座(夜9時ごろの南の空)
| 季節 | 南の空の主な星座 | 明るい星・目じるし |
|---|---|---|
| 春(4〜5月ごろ) | しし座、おとめ座、うしかい座 | レグルス、スピカ(青白い星)、アークトゥルス(だいだい色の星)。北斗七星の柄のカーブをのばすと春の大曲線 |
| 夏(7〜8月ごろ) | さそり座、いて座、わし座。頭の上近くに こと座・はくちょう座 | アンタレス(赤い星)、ベガ・アルタイル・デネブ(夏の大三角) |
| 秋(10〜11月ごろ) | ペガスス座、アンドロメダ座、みなみのうお座 | 秋の四辺形、フォーマルハウト。北の空にカシオペヤ座 |
| 冬(1〜2月ごろ) | オリオン座、おうし座、おおいぬ座、こいぬ座、ふたご座 | ベテルギウス(赤い星)、リゲル(青白い星)、シリウス、プロキオン(冬の大三角)、すばる |
月は目安です。このシミュレーターで各月15日の21時の東京の空を計算し、南中の前後2時間ほど(子午線から約30°以内)にある星座を確かめました。3月・6月・9月・12月ごろは、となりの季節の星座が入れかわる時期です。
公転と、真夜中に南に見える星座
真夜中に南の空に見えるのは、地球から見て太陽と反対の方向にある星座です。右の図のように、12月中ごろの地球から見て太陽と反対側にあるのはオリオン座(ベテルギウスが0時に南中するのは12月16日ごろ)、5月の終わりごろはさそり座(アンタレスは5月26日ごろ)です。季節が進むと地球の位置が変わるので、真夜中に南に見える星座も変わります。太陽と同じ方向にある星座は、昼の空にあるため見えません。
星の位置の計算(このシミュレーションのしくみ)
星の位置は、それぞれの星の赤経・赤緯(天球の上の経度・緯度にあたる値)と、日付・時刻から求めた恒星時をもとに、東京(北緯35.7°)で見た高度と方位を計算しています。星の赤経・赤緯と明るさ(等級)は SIMBAD(ストラスブール天文データセンター)の値で、2026年までの歳差(地軸の向きのゆっくりした変化)を補正しています。たとえば、東京でベテルギウスが南中するときの高度は約62°、アンタレスは約28°、シリウスは約38°です。南中する時刻は、ベテルギウスが1月15日21時58分・2月15日19時56分、アンタレスが7月15日20時39分(2026年)です。
このシミュレーションで単純化していること
- 地上から見た空の図は、カメラで写したときと同じ見え方(透視図)で、左右の端ほど引きのばされて見えます。
- 大気による浮き上がり(地平線近くで約0.5°)は入れていません。高度は計算上の値です。
- 星座は、明るい星だけを線で結んでいます。結び方は本によって少しずつ違います。
- 右の公転の図は、大きさと距離を誇張しています。黄色の矢印は、いまの時刻に東京で真南の空の方向を、公転の面に写したものです。
- 日付は2026年の暦で計算しています(ほかの年でも、星の位置のずれは1°ほどです)。
参考
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編」(https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387017_005_1.pdf)
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編」p.104〜106(https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387018_005.pdf)
- 国立天文台 暦計算室「暦Wiki 天文航法/緯度の決定」(https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/C5B7CAB8B9D2CBA12FB0DEC5D9A4CEB7E8C4EA.html)…北極星の高度と緯度
- 国立天文台「歳差ってなに?」(https://www.nao.ac.jp/faq/a1007.html)
- SIMBAD Astronomical Database(CDS, Strasbourg)(https://simbad.cds.unistra.fr/simbad/)…星の赤経・赤緯・等級
- Jean Meeus『Astronomical Algorithms』第2版(Willmann-Bell, 1998)
引用・転載について
本ページのシミュレーション結果・数値は、出典を明記いただければブログ・ニュース記事・SNS・授業や社内資料への引用を歓迎します。事前連絡は不要です。
出典:シミュラボ「星の1日・1年の動き(日周運動・年周運動・季節の星座)」 https://shimulabo.com/sims/hoshi-ugoki/よくある質問
- 星が東から西へ動いて見えるのはなぜですか?
- 地球が西から東へ自転しているからです。地球は1日に1回自転するので、星は1時間に約15°(360°÷24時間)ずつ、東から西へ動いて見えます。これを日周運動といいます。
- 北極星がほとんど動かないのはなぜですか?
- 地軸を北へのばした方向(天の北極)のすぐ近くにあるからです。ほかの星は北極星のまわりを反時計回りに回って見えます。北極星の高度は、観測する場所の緯度とほぼ同じで、東京では約35.7°です。
- 同じ時刻に見える星座が、季節によって変わるのはなぜですか?
- 地球が太陽のまわりを1年で1周(公転)しているからです。同じ時刻に見える星の位置は1か月に約30°ずつ西へずれ、1年でもとにもどります。これを年周運動といいます。
- 星が南中する時刻は、1日に何分早くなりますか?
- 約4分です。1か月では約2時間、1年で24時間早くなって、もとの時刻にもどります。地球が公転して、1日に約1°ずつ太陽に対する向きが変わるためです。
- 星座の形は、時間がたつと変わりますか?
- 星の並び方(星座の形)は変わりません。位置が変わるのと同時に、地平線に対する向き(かたむき)は変わって見えます。たとえばオリオン座は、東の空からのぼるときは横だおしのような向きに見えます。
- 夏の大三角・冬の大三角は、どの星ですか?
- 夏の大三角は、こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブです。冬の大三角は、オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンです。